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メガソーラー反対派に焼酎と100万円持参…建設巡り対立の中

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 大規模太陽光発電所(メガソーラー)を巡り、事業者と住民間のトラブルが全国で相次いでいる。昨年10月の台風19号で被災した宮城県丸森町では、事業者側が反対派の行政区長に賄賂を渡そうとしたとされる贈賄事件にまで発展した。(後藤陵平)

■現金と黒糖焼酎

 7月3日の夕方、農作業をしていた丸森町耕野地区の行政区長のもとに突然、男女3人が現れた。町内の山林115ヘクタールにメガソーラーの建設を計画する電気工事会社「HK―ONE」(仙台市青葉区)代表の原田昭彦容疑者(56)らだった。

住民説明会で計画を話す原田容疑者(2019年7月、丸森町)=住民提供
住民説明会で計画を話す原田容疑者(2019年7月、丸森町)=住民提供

 捜査関係者によると、原田容疑者は計画に賛成してもらうため、反対派の区長に現金100万円と桐箱きりばこに入った黒糖焼酎(4000円相当)を渡そうとした。区長は受け取りを拒否したが、押し問答は30分以上に及んだという。県警は11月、特別職の非常勤公務員である行政区長に賄賂を申し込んだとして、贈賄容疑で原田容疑者ら3人を逮捕した。

 原田容疑者が行政区長や地権者宅を回り始めたのは約3年前。地権者には、土地1平方メートル当たり年50円で20年間借りるとし、契約時に1年分の賃料を支払った。耕野地区の12の行政区に対しても20年間、毎年20万円支払う約束をしたという。

■台風19号で土砂崩れ

 しかし、昨年10月の台風19号で、町内では土砂崩れが多発した。耕野地区では1人が死亡し、住民からは「森林伐採で土砂崩れが起こりやすくなる」などと反対の声が強まった。

 町は今年5月、再生可能エネルギー事業を行う事業者は、住民説明会を開催することなどを求めた条例を施行。業者側は説明会の報告書を提出し、行政区長の承認を得なければならなくなったが、12行政区の大半の区長は計画に反対する立場だったという。

 県警は原田容疑者らの認否を明らかにしていないが、現金を配ろうとしたのは、事業を速やかに進めるためだったとみて調べている。

■住民反対で撤退相次ぐ

 各地でメガソーラー事業が進んだ背景には、東日本大震災後の2012年に始まった「固定価格買い取り制度(FIT)」がある。再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた価格で電力会社が買い取るというもので、太陽光の発電量は年々上昇した。NPO法人「環境エネルギー政策研究所」(東京)の調査では、全体に占める発電量は14年の1・9%から、19年は7・4%に急増している。

 ただ、災害への懸念や景観・水源の保護などを巡り、住民と事業者の対立も相次ぐようになった。

 長野県諏訪市では、約196ヘクタールの山林にメガソーラーを整備する計画が進んでいたが、地元住民が環境破壊などを理由に反対し、事業者は今年6月に撤退を表明。兵庫県宝塚市でも昨年、市東部の山林2・5ヘクタールに太陽光パネルを敷き詰める計画が浮上したが、反対運動を受け、事業者は今年6月に建設を断念した。

 自治体も許可制や禁止区域を設定して開発を規制する条例を制定するようになり、同研究所によると、約90自治体が条例などを整備している。政府も今年4月から、出力4万キロ・ワット以上のメガソーラーについて、環境影響評価(環境アセスメント)を義務づけた。

 長谷川公一・東北大名誉教授(環境社会学)は「条件の良い土地は開発が進み、山林や傾斜地にまで進んでいる。立地自治体が積極的に介入し、条例制定などで主導権を握るべきだ」と指摘している。

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1683993 0 社会 2020/12/07 22:48:00 2020/12/07 23:25:34 2020/12/07 23:25:34 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201206-OYT1I50021-T.jpg?type=thumbnail

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