路駐に超迷惑する温泉街、「風情が台無し」「人気も冷める」
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温泉街を東西に貫く県道は、旅館や土産物店がずらり。道幅は最も広い箇所でも7メートルほどしかない。
道の端には、チェックインの間に旅館前に止めたマイカーや配送業者のトラックもちらほら。そぞろ歩きのスペースを塞がれた観光客は仕方なく車道にはみ出し、車と人が入り乱れる。
危険を感じる人もおり、こんな風景がおなじみになっては全国的に有名な城崎の名が廃る、と2016年に官民で設立した「城崎温泉交通環境改善協議会」は実態調査に乗り出した。
すると、メインの「湯の里通り」(県道豊岡竹野線)で、止まった車や道に広がる歩行者のため対向車同士がすれ違えず、また停滞して……という悪循環が分かってきた。
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こうした結果などから昨秋、社会実験で駐停車の抑制を図ったところ、関係者の連携で減らせることを確認。住民や旅館、土産物店など温泉街全体での努力目標として明文化を決めた。
そうして今回、「そぞろ歩きルール」と題して12月に取り組みを始めた。歩行者と車の通行が増える午後3~6時に、駐停車しないよう呼びかける。
対象は北柳通りと南柳通り(ともに約480メートル)、駅通り(約300メートル)、湯の里通り(約440メートル)。短時間の所用でも市営駐車場の利用を促す。
また、休日は道路通行量のうち約4割が、温泉街の範囲内にとどまる近距離移動という調査結果もあるため、午後3~6時は車の利用を控えるよう訴える。
市の広報紙や関連団体のホームページを通じて周知し、交通ルール順守も求めていくという。
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協議会は、この取り組みを改善策の第1弾と位置付ける。県が計画する、温泉街を
バイパス完成後は湯の里通りを一方通行とする方向で検討されており、協議会長の西村総一郎さんは「まちの新しい姿とルールを次世代へつなぐ」と交通マナーでも愛される温泉街への第一歩とする意気込みだ。
土井勉・元京都大教授(交通政策)は「観光客に『城崎には地元で定めたルールがあり、守ることでより楽しめる』と知ってもらうことがトラブル回避につながる」と指摘。「多少の不便をみんなで我慢することが大事」とする。