【独自】「署に来て」警官装う電話、全国で相次ぐ…都内だけで591件・新手の詐欺か
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警察官を装って高齢者宅に電話をかけ、「警察署に来てほしい」と求める不審電話が7月以降、全国で相次いでいる。東京都内では今月15日までに591件に上り、愛知や大阪、福岡などでも確認された。通話の途中で「今からお宅に向かう」などと話を切り替えられ、家を訪れた偽警察官にキャッシュカードを窃取される被害も発生。警察当局は、新手の詐欺とみて注意を呼びかけている。

「あなたのカードで不審な引き出しがあった。警察署に来て被害届を出してほしい」。9月29日、東京都杉並区の90歳代の女性宅に最寄りの警察署員を名乗る人物から電話があった。女性から口座番号や暗証番号を聞き出した後、「近くを巡回している担当者がお宅に行くのでカードを渡してください」と言われた。
通話の最中に、警察官を名乗る若い男が女性宅に現れた。女性は言われるがままカードを渡してしまい、口座から約250万円を不正に引き出された。
警視庁によると、都内では7月からこうした不審電話が増え、特に11月は284件に上り、12月も15日までに89件あった。中には「犯人の写真を見せたいので警察署に来て」などと求める手口もあった。
大阪府では10、11月、80歳代の男性2人に同様の電話があった。「足が悪いので署に行けない」などと断ると、すぐに自宅に男が現れ、持ち去られたキャッシュカードで現金計280万円を引き出された。
不審電話は埼玉県でも7月以降に120件以上あり、愛知県や福岡県などでも確認された。警察当局は、特殊詐欺グループが考案した新たな手口のマニュアルが出回っている可能性があるとみて警戒している。
警視庁幹部は「警察官を名乗る人物から心当たりのない電話があったら、一度電話を切って署にかけ直してほしい」と話している。