ハンドル操作してないのにサイクリングコースで相次ぎ転倒、9人重軽傷…路面のぬめりが原因か
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茨城県土浦市の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」で走行中の自転車が相次いで転倒し、9人が重軽傷を負った事故で、サイクリストから県の管理責任を問う声が上がっている。路面のぬめりが転倒の原因とみられ、負傷者らは「県の管理ミスは明らかだ」などと憤っている。

「ハンドルもブレーキも操作していないのに前輪、次に後輪が滑った。あり得ない」。大学名誉教授の男性(73)(北海道伊達市)は語気を強める。
事故が起きたのは11月3日。12人が時速20キロ台で走行していた。名誉教授は先頭から5人目の位置で走り、最初に転倒した。右の腰や肩、膝を打撲したという。
7人目の男性(73)(神奈川県海老名市)は「路面は恐ろしく、ぬめっていた」と証言。「道路管理上のミスは明らかだ」と怒りをあらわにする。
山道を自転車で駆け上がる「ヒルクライムレース」の年代別部門で何度も優勝しており、運転には精通している。それでも、転倒を避けられなかった。
骨盤を骨折し、1か月間も入院した。退院後も筋力の衰えが激しい。「筋トレに励んでいるが、元通りにサイクリングを楽しめるまで、どれほどかかるだろうか」と不安を隠せない。
県から、けがの状況を聞かれた。しかし、事故原因の説明はなかったという。
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先頭を走行していた男性(73)(千葉県印西市)ら2人は、ほかのサイクリストに聞き取り調査を実施。前から4人目まではロードの中央を走っていたが、5人目の名誉教授は左側を走行中に転倒したことを突き止めた。
6~12人目も左側を走り、前走者を避けようとハンドルやブレーキを操作して転んでいた。転倒音に気づいてブレーキをかけた4人目も転倒。集団から大きく遅れていた13人目は、事故に巻き込まれなかった。
12人は2メートル以上の車間距離を保っており、自転車同士は衝突していない。しかし、帰宅後に骨折が判明した1人を含む5人が重傷、4人が軽傷を負った。
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「カラー舗装の道は滑りやすい」。大井川知事は事故が起きる約1か月前の10月5日、ロードを走行中に転倒し、こう指摘していた。
ロードは砕石層にアスファルト舗装、カラー塗装が重なる構造。県は10月8日、カラー塗装の上にたまった汚れが雨にぬれ、ぬめりの原因になったと判断。汚れを取り除くことを決めた。
しかし、通常の路面洗浄車は車幅が広すぎ、ロードで使えないことが判明。洗浄機を手配して除去に着手したのは、事故後の11月5日だった。
県は今年度内に、カラー塗装された区間のうち、土浦市とつくば市にまたがる5キロを改修する方針だ。サイクリスト13人には順次、事故状況の聞き取りを始めている。