吉川元農相「在任前後にも現金受領」…数年間で計1800万円か
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吉川貴盛・元農相(70)(議員辞職)が大手鶏卵会社「アキタフーズ」(広島)の前代表(87)から現金を受け取った疑いのある事件で、吉川氏が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、「農相在任前後にも現金の提供を受けた」と供述したことが関係者の話でわかった。吉川氏が前代表から受領した現金は過去数年間で計1800万円に上る疑いもあるという。

特捜部は、このうち農相在任中に受け取った計500万円について、収賄の疑いがあるとみており、先月25日には広島地検と合同で収賄と政治資金規正法違反の容疑で吉川氏の国会事務所などを捜索。押収資料を分析し、現金の趣旨の解明を進めている。
吉川氏は2018年10月から19年9月まで農相を務めた。関係者によると、吉川氏は聴取に対し、18年11月に200万円、19年3月に200万円、19年8月に100万円を前代表から受け取ったと説明。1回目の200万円は「就任祝いだと思った」とし、2、3回目については「大臣になる前にも同じような規模の金額をもらっており、自分の政治活動を応援するための資金だと思っていた」と述べ、農相退任後の現金受領も認めたという。
鶏卵を巡っては18年9月、国際獣疫事務局(OIE)が「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の観点から飼育環境の整備を加盟国に求める指針案を策定。前代表は反対の立場で吉川氏に要望を行っていた。
前代表は特捜部に対し、吉川氏への現金提供を認め、「業界のためだった」と供述。特捜部は農相在任中の計500万円は指針案への対応などで便宜を図ってもらうためだったとみているが、吉川氏は賄賂の趣旨を否認しているという。
特捜部と広島地検は昨年7月、19年の参院選を巡る大規模買収事件の関連先としてアキタフーズを捜索。一連の捜査により、吉川氏が前代表から受領した現金は、この計500万円を含め、少なくとも計1800万円に上るとの見方を強めている。