「赤ちゃん起きる」「夜勤明けで眠れない」…朝7時の防災無線チャイム廃止
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静岡県富士市は防災無線で毎日午前7時に流している時報チャイムを昨年いっぱいで取りやめた。子育て世代や夜勤明けの労働者らに配慮した措置で、市民に耳慣れた音が消えた。
市では午前7時と正午、午後5時の1日3回、チャイムや童謡「ふじの山」のメロディーを防災無線で流してきた。時報のほか、災害などの緊急時に正常に作動させるための動作確認と点検をかねていた。
市民には工場労働者や農家が多く、昭和40年代から起床や昼休み、終業など生活のリズムを刻む慣れ親しんできた音でもある。
ただ近年は、働き方や生活様式の変化もあり、午前7時のチャイムについては、「朝、うるさくて赤ちゃんが起きてしまう」「夜勤明けで眠れず、ストレスを感じる」などの苦情が年間20件ほど、市に寄せられるようになった。5年ごとに行っている調査でも、なくても困らないという意見が、2020年の調査で4割を超えていた。こうしたことから、時報を2回に減らしても動作の確認に支障はないとして、今年から廃止することにした。一方で長年、この音とともに生活してきた高齢者らからは廃止を惜しむ声もあった。
市防災危機管理課は「スピーカーの方向を変えるなど対策も取ってきたが、音を苦痛と感じる人がいる以上、総合的に判断して廃止を決めた」と話した。