【独自】25年以上前の中学教員わいせつ、異例の再調査へ…被害認定の判決確定受け
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札幌市立中学生だった頃から男性教員に性的被害を受け続けたとして、東京都在住の女性(43)が教員らに損害賠償を求めた訴訟で昨年12月、東京高裁が性的被害を認定する判決を出したことを受け、札幌市教育委員会がこの教員に聞き取り調査を進めていることがわかった。教員は過去の調査で性的行為を否定したが、市教委は司法判断を重く見て、25年以上前の事案について異例の再調査に踏み切った形だ。
被害を訴えているのは、写真家石田郁子さん。石田さんは、中学から高校時代にかけ、自身が通っていた中学の男性教員から性的被害を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したなどとして2019年、男性教員や市に損害賠償を求めて提訴。1審・東京地裁判決と2審・東京高裁判決はともに、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が過ぎたとして請求を退けた。
しかし、昨年12月の東京高裁判決は、石田さんが中学卒業前から高校時代にかけて、男性教員からキスされたり、性的な行為をされたりした事実があったことは認定。同判決は確定した。同判決を受け、石田さんは札幌市教委に対して男性教員の懲戒処分を求めている。
一方、市教委は16年、石田さんの申し立てを受け、男性教員に聞き取り調査を複数回行ったが、教員が否定したため被害の事実を確認できなかった。だが、性的被害があったとする高裁判決が確定したことで、市教委側は「再度調査する必要がある」と判断。今月に入り、男性教員への聞き取りを進めている。
市教委では、わいせつ行為などにより教員として不適切と認定された教員は原則、免職を含めた懲戒処分にする指針を定めている。男性教員は現在も市立中学校に勤務している。石田さんが中学に通っていたのは25年以上前となるが、市幹部は「高裁で事実が認定されたことは非常に重いと考えている」としている。
男性教員の代理人を務めた弁護士は読売新聞の取材に対し、性的被害を認定する高裁判決の確定について「ノーコメント」と話した。