「雪で車が動けない」通報80件以上…男性「雪かきでクタクタ」
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秋田県内は9日、沿岸南部で大雪に見舞われ、秋田市では午前11時までの12時間降雪量が34センチと観測史上最大を記録した。路線バスが運休するなど市民生活に影響も出て、市は道路豪雪対策本部を設置するなど対応に追われた。
■車立ち往生相次ぐ
秋田地方気象台によると、県の沿岸南部では暴風が収まる一方、雪雲が停滞して大雪となり、秋田市では9日午前11時に平年の5倍を超える60センチの積雪を観測。秋田中央、本荘由利地域で大雪警報が出された。県内は10、11日も降雪の見込み。
秋田市では同日朝から住民たちが除雪作業に追われた。道路の除排雪が追いつかず、県警によると、秋田市内では朝から「雪で車両が動けなくなった」などの通報が秋田中央、秋田臨港両署管内だけで80件以上寄せられた。道路で車が立ち往生し、1時間以上動けなくなった同市の男性(50)は「タイヤの周りの雪かきでもうくたくた」と息を切らしていた。
秋田市は同日、道路豪雪対策本部を設置。除排雪費用を7億円追加することも決め、夜までだった「除排雪コールセンター」の受け付けを24時間態勢に拡大した。同センターには同日午前8時から4時間で174件の問い合わせがあった。
■停電は復旧
県内の暴風雪による7日からの停電は8日深夜に復旧が完了した。停電の影響で避難所の秋田市西部市民サービスセンターで一夜を過ごした同市新屋扇町の無職男性(76)は、大雪のため自宅に帰れず、9日昼過ぎも避難所でシュラフにくるまり横になっていた。男性は一人暮らしで、1か月ほど前に腰を骨折したため除雪作業ができないといい、「家の駐車場には大量の雪が積もっているだろう。早く家で横になってテレビを見たいのに」と困り顔だった。
秋田市外旭川のホームセンター「ハッピー外旭川店」では、前日までの暴風雪に続く大雪で反射式石油ストーブやランタンが多く売れていたが、9日は雪かき用の大型スコップや雪を押して運べるスノーダンプなどがほぼ完売状態になった。同店の高橋浩一店長(44)は「今後の入荷の見通しは立たないが、1時間に10件以上の問い合わせをいただいている」と疲れ切った様子だった。
■路線バス運休
交通機関も乱れ、秋田市内は路線バスなどが「安全が確保できない」として昼前から運休となった。JR東日本秋田支社によると、羽越線が終日運休となり、奥羽線の一部区間も運休となった。秋田新幹線も一部列車で運休や遅れが出た。
航空各社によると、秋田空港と大館能代空港を発着する便も、全便が雪の影響で欠航となった。
イベントの中止もあり、秋田市の大森山動物園で予定されていた冬期開園「雪の動物園」が雪のため11日まで中止となった。
秋田東署によると9日午前10時半頃、秋田市河辺大張野の無職女性(71)が雪下ろし作業中に自宅の屋根から転落し、鎖骨を折るなどの重傷を負った。
自衛隊によると東成瀬村では9日午後、県から災害派遣の要請を受けていた陸上自衛隊の隊員約130人が民家などの除雪作業を開始した。