放置自転車が最悪の名古屋市、撤去効率化へ実験…撮影し送信後にすぐ判断
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名古屋市は、全国最悪となっている放置自転車の撤去効率化につなげようと、撤去が可能かを判断する権限をもつ土木事務所職員と現場をつなぐリモートシステムの実証実験を始めた。年度末まで実験を行い、効果を検証した上で新年度以降に本格導入する方針だ。

放置自転車を撤去するためには現在、各土木事務所の「自転車担当」ら複数の市職員が現場で立ち会い、確認する必要があり、時間と手間が課題となっている。
新たなシステムは駐車場管理業「芝園開発」(東京都)が開発、運営する。
システムでは、〈1〉現場の市職員が警告札を自転車に貼り付け、専用端末で撮影して写真を送信。位置は、全地球測位システム(GPS)で自動登録される〈2〉撮影から約10分後、持ち主が現れず、放置されたままであることを確認し、市職員は改めて写真を撮影して送信〈3〉土木事務所の自転車担当職員が撤去を指示〈4〉業者が自転車を撤去――という流れになる。
先月の実証実験は、同市中村区のJR名古屋駅近くの大名古屋ビルヂング前などで実施。歩道上に「自転車駐輪禁止」と明記されている中、約20台が放置されていたが、約1時間で撤去作業は完了した。
システムを使えば、市職員1人が現場で確認し、自転車担当職員は問い合わせに対応するだけで済むため効率化につながる。市自転車利用課の高尾知基主幹は「端末の操作にまだ慣れておらず、今回は時間がかかったが、徐々に効率は上がるだろう」と期待する。
同課によると、自転車担当職員は、ほかの業務も兼ねている。道路や公園、河川の管理も行う「インフラ維持の最前線」である土木事務所の人員は潤沢ではない。また、新型コロナウイルス対策で、各土木事務所からも職員を応援に出しているという。
国土交通省が2019年10~12月に行った全国調査では、名古屋市の駅周辺の放置自転車数は6631台と最悪を記録した。放置自転車の処分など一連の費用には、年間で約1億円の税金が投入されている。同課は「全国最悪となっている放置自転車問題の解決につなげたい」としている。