高額請求トラブル、返金求め提訴した業者が廃業…「裁判に勝ってもお金戻るのか不安」
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全国で相次ぐトイレや風呂場などの水回りの高額請求トラブルは、訴訟に発展するケースも多い。読売新聞の調べでは、水道会社や修理業者を相手取り、返金を求める民事訴訟が県内で少なくとも10件以上起きている。(高額請求問題取材班)
2019年9月、修理で140万円を請求された神戸市の女性(40)は、支払い直後から不審に思い、クーリングオフを業者側に通知した。だが、返金に応じてもらえなかった。
女性は翌月、返金を求めて神戸簡裁に提訴。その後、業者は廃業した。裁判は和解に向けて協議が進んでいるが、女性は「裁判に勝ってもお金は戻ってくるのか」と不安な日々を過ごす。
同様の訴訟は県内で相次いでおり、水道問題に詳しい北村拓也弁護士(兵庫県弁護士会)によると、県内では現在、少なくとも10件以上の訴訟が確認されている。
返金を拒む業者の説明はいずれも一貫しているといい、「依頼を受けて自宅に訪問した。特定商取引法の『訪問販売』には該当せず、クーリングオフに応じる義務はない」などと主張。ただ、和解するケースが大半で、代金の8割ほどが戻ってきた事例もあるという。北村弁護士は「会社側は非を認めない一方で、判決までは争いたくないという意図を感じる」と分析する。
高額請求を巡っては、NPO法人が消費者に代わって水道会社を訴えるケースもある。

消費者に代わって原告となり、差し止め請求訴訟を起こせる国認定「適格消費者団体」の「ひょうご消費者ネット」(神戸市)が18年8月、苦情の多い神戸市を含む関西の水道会社と修理業者に不当行為の差し止めを求め、神戸地裁に提訴した。
これらの会社は、消費者に対して、「原則としてクーリングオフできない」と書面で通知したり、クーリングオフを希望する消費者に高圧的に振る舞ったりしていたという。
神戸地裁は19年12月、特商法上の「訪問販売」に該当し、「クーリングオフの対象になる」と判断。その根拠は明らかにされていないが、NPO法人の主張を全面的に認め、不当行為をやめるように和解勧告した。ただ、同ネット理事長の鈴木
北村弁護士も「訴訟と聞けば大変だと思うかもしれないが、返金にたどりつく有効な手段だ。気軽に近くの消費者センターに相談してほしい」と呼び掛けている。