【独自】ホテル破綻情報、公表前に「公開状態」…法律事務所がメール誤設定
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メール共有サービス「グーグルグループ」で医療機関などの個人情報が誰でも閲覧できる状態になっていた問題で、大阪市の法律事務所が内部メールを「公開状態」にしていたことがわかった。公表前のホテル会社の破綻情報がやりとりされており、事務所は「認識が甘かった」と陳謝した。
事務所によると、閲覧可能となっていたのは所属する弁護士や事務職員らが業務連絡のため開設したグーグルグループの共有メール。男性弁護士が1月上旬に開設したが、メールが受信できない不具合があったため、試行錯誤する中で閲覧範囲の設定を誤って変更した。この弁護士は「ネット上で誰でも見られる状態だったとは思わなかった」と説明している。
メールには、コロナ禍で破綻状態に陥った依頼主のホテル会社の情報もあった。民事再生法の適用を申し立てる予定日や債務の詳細、従業員名簿などが含まれていた。
読売新聞がホテル側に事実関係を確認したところ、男性経営者は「一部の従業員しか知らない状況で、事前に漏れれば非常にまずい」と困惑した。同社はその後、同法適用を申し立てた。
このほか、刑事事件で不起訴処分となったことを示す告知書や個人の財産目録なども「公開状態」になっていた。
日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティー指針は、弁護士が外部サービスを利用して情報共有する場合、個人情報が漏えいしないよう適切な設定をすることを求めている。法律事務所の代表弁護士は「非常に重大な事態と受け止めている。流出の危険性に対する認識が甘かった」と話した。