青春なくなってかわいそう?…高校生作家・鈴木るりかさん「そんなことないよっ!」 [コロナ #伝えたい]

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 2度目の緊急事態宣言が発令されている。私たちが一刻も早く、コロナを乗り越えるには――。そのためにいま「#伝えたい」ことを、感染の経験や独自の視点を持つ著名人に聞いた。

専門家、悩んで呼びかけ「正しく恐れて」…「かまどのメシ炊き」を自任[コロナ #伝えたい]

学園祭も体育祭も延期・縮小・中止

鈴木るりかさん(高校生作家、17歳) 撮影/岡田泰裕
鈴木るりかさん(高校生作家、17歳) 撮影/岡田泰裕

 新型コロナウイルスが流行し始めたときは、ちょっと新しいインフルエンザが出たぐらいの感覚で、それほど深刻に受け止めていませんでした。級友たちもそうです。「学校が休みになってラッキー」ぐらいに考えていた。2月の下旬に休校が決まった時には、3月下旬の修学旅行には行けると思ってましたから。

 それが延びて、まさか次に登校できるのが6月になるとは思っていませんでした。卒業式も送別会も修学旅行も入学式も学園祭も体育祭も、延期、縮小、中止。仕方がない、みんなそうだもの、と自分に言い聞かせてみても、悲しくやりきれない気持ちはどうしようもないです。

 この時期の、大切な何かを損なわれてしまった、この思いは大人になっても抱き続けていくのだろうと思います。

全身からやる気抜け、体にも頭にも力入らず

 コロナで休校が決まって、でもこれは「執筆にとっては勿怪もっけの幸い、書く時間がたっぷり取れる!」と最初は喜んでいたんですが、これが全然進まない。全身からやる気が抜けてしまったというか、体にも頭にも力が入らないような状態になってしまって、それはやはりコロナへの不安からきていたのだと思います。

 一度は「今年は書けないと思う」と担当編集者に伝えました。でも「書かない」と決めたら、余計苦しくなった。やっぱり自分には書く事しかないのだ、と思った。いつもの日常が基盤にあってこその創作活動であったのだなあ、と改めて思い知らされた気がします。コロナ禍は、自分にとって、何が大事か、誰が大事か、わからせてくれた面もありました。

コロナとの戦い、「作家の目」で見守りたい

 私の書く小説は、現代の日常が舞台です。昨年秋に発売した新作では、コロナをどう扱うかについて悩みました。でもコロナ下の設定にすると、話がどうしてもストップしてしまうので、コロナの影響を受けていない世界ということにしました。

 すべてが終息した時には、改めて振り返って「100年に一度、未曽有の大災害」とまでいわれたコロナ禍を書きたい。

 考えているタイトルは「みんなコロナのせいにして(仮)」。マスクの高額転売で一もうけしようとたくらんだ人、デマに踊らされトイレットペーパーの買い占めに走った人、緊急事態宣言中に銀座のクラブをハシゴしていた政治家、飲食店をやめなければならなくなった店主とその家族、子供の頃からのCAの夢を諦めた女子大生、リモートワークで田舎に移住した一家……。様々な人々の悲喜こもごもを描く群像劇のようなものです。

 コロナとの戦いはまだその渦中にありますから、これからの動向を「作家の目」で見守っていきたいです。

17歳は17歳、その時を精いっぱい生きる

 私たちの世代は「今の子はかわいそう。コロナで青春がなくなっちゃって」と度々言われます。実際そのとおりなのですが、哀れまれてばかりいると「そんなことないよっ!」と反論したくなる。

 私の17歳は、コロナ一色でした。コロナの時に自分はいくつだったか、どこで何をしていたか、というのは、これから後に、折に触れ、幾度も振り返ることになると思います。そういう意味では、戦争に近い。

 でも、戦時中でも、その時を精いっぱい生きた青春はきっとあったと思うし、コロナ禍でもコロナ禍の青春はあると思うのです。暗黒の時代だったとしても、17歳は17歳、青春そのものはなくならない、と思いたい。

友達と近づけず、お弁当も沈黙して食べているけど…

 スポーツ大会が中止になっても、運動部員は黙々とトレーニングを続けるし、入学式やサークル活動がなくても、志望大学進学のために、受験勉強をする人がいる。

 学校では、友達とも近づけず、お弁当も個々で沈黙して食べているけれど、LINEや電話などコミュニケーションを取る手段はある。思い描いていたのとは、全然違うかもしれないけれど、これが2020年、21年の私たち、誰が悪いのでも、誰のせいでもなく……。今私たちはここにいる。「コロナだから仕方がない」といって、諦めることに慣れたくない。

「息ができるならまだ大丈夫」

 「どんなに絶望的でひどい状況でも、息ができるならまだ大丈夫だ」。トルコのことわざです。中学2年で書いた「14歳、明日の時間割」の中で使わせてもらいましたが、今、マスク越しでも息はできている。

 まだ大丈夫、いや、きっと大丈夫だ。深呼吸しよう。マスクを通しても、梅の香りはわかるから。(聞き手・飯田真優子)

 <略歴> すずき・るりか 東京都生まれの高校2年生。小学4年から3年連続で小学生限定の「12歳の文学賞」大賞を受賞。2017年に作家デビュー作として出版した「さよなら、田中さん」(小学館)は10万部突破。最新作は「私を月に連れてって」(同)。

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