【独自】資金洗浄、AIで防止…不正送金など検知する新システム導入図る
完了しました


金融庁はマネーロンダリング(資金洗浄)対策強化のため、AI(人工知能)を活用して不正送金などを検知するシステムを作り、全国の金融機関での導入を図る。反社会勢力による銀行口座の開設や、犯罪組織の関与が疑われる資金のやり取りを防ぐ狙いがある。早ければ2021年度中に実用化し、対策が遅れている地方銀行などに利用を促す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の予算数億円を使い、金融庁が今年度からNECや全国銀行協会、あずさ監査法人と実証実験を進めてきた。3月に報告書をまとめ、21年度以降、システムの利用料金や運営体制などの検討を進める。
新システムでは、金融機関の口座開設や送金などの取引データを、AIがチェックする。短期間に何度も特定口座への送金を繰り返したり、多額の現金を突然引き出したりといった不自然な取引や人物を検知し、金融機関に警告する仕組みだ。
警察庁によると、資金洗浄など犯罪への関与が疑われる取引の届け出件数は19年に44万492件と、10年の約1・5倍に達し、過去最多となった。流出した個人情報をもとに銀行口座が不正に開設され、特殊詐欺などに悪用されるケースも後を絶たない。