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神戸にもあったビリケンさん…「福の神」のルーツは?

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 「ビリケンさん」と聞けば、大阪・新世界の通天閣にまします福の神を、関西人の多くは思うだろう。実は神戸市内の神社にも鎮座しているらしい。調べてみると、名称の由来は、米大統領がかかわっているとの説もあるのだとか。福の神になった大統領? 確かに日本には八百万やおよろずの神々がいるとは言うが……。ルーツを探った。(伊藤孝則)

大黒天?

米俵に座り、打ち出の小づちを手にする松尾稲荷神社のビリケンさん(神戸市兵庫区で)=八木良樹撮影
米俵に座り、打ち出の小づちを手にする松尾稲荷神社のビリケンさん(神戸市兵庫区で)=八木良樹撮影

 早速、ビリケン像があるという神戸市兵庫区の松尾稲荷神社を訪れた。

 宮司の長山竹之さん(63)に案内され、本殿の奥に進む。道すがら、氏子らから奉納されたお稲荷さんがずらり。その一角を見やり、思わずにやりとしてしまった。

 横に大きく広がった特徴的な口に、上向き加減の鼻の穴、大きく前につきだした両足。通天閣のそれとは少し違うが、まさしくビリケン像だった。

 木製で高さは約60センチ。神社では「松福まつふく様」と呼ばれているという。

 気になるのは、祭神の稲荷大明神とどんな関係があるのか、ということだ。長山さんによると、こういういきさつがあったらしい。

松尾稲荷神社近くの西出鎮守稲荷神社でも2005年、ビリケン像が見つかった。おなかに蓋付きの穴があり、中に「昭和五年」と記された小石(手前)があったという(神戸市兵庫区で)
松尾稲荷神社近くの西出鎮守稲荷神社でも2005年、ビリケン像が見つかった。おなかに蓋付きの穴があり、中に「昭和五年」と記された小石(手前)があったという(神戸市兵庫区で)

 大正初期、神戸・元町にあった洋食店の主人が、異国の水兵が持っていたビリケン人形をまねて作らせた。それを店頭に置いたところ、商売にならないほど見物人が殺到し、商売繁盛の御利益がある同神社が譲り受けることになった。

 よく見ると、打ち出の小づちを手に、米俵の上に座っている。それが水兵の人形に由来するのか、作者のイメージかは分からない。確かなのは、七福神の大黒天を想起させるということだ。

夢のお告げ?

 松福様には、病気平癒、学業向上の御利益があるらしい。

 長山さんに「よく見てみてください」と促されるまま、像に顔を近づけると、額あたりの漆が少しはげていた。あまたの参拝者が「我が子の頭が良くなるように」と頭をなでた跡だという。

 病人が患部と同じ部分をさすると、癒えるとされる「で仏」のような、民間信仰の対象だったのだろう。

 「霊験あらたかな福の神がお見えになったらしい」とのうわさがあったのかは定かではない。ただ当時、ビリケンさんは、海の向こうからやって来た福の神として、国内で大ブームだったようだ。

 「ビリケン! かう言つただけで人はもう笑ひ顔をする、ビリケンはそれ程までにひろまりそれ程までにオカシがられる」

ビリケンブームを伝える明治45年2月8日付の読売新聞。あまりの人気に偽グッズが横行していることに警鐘を鳴らしている
ビリケンブームを伝える明治45年2月8日付の読売新聞。あまりの人気に偽グッズが横行していることに警鐘を鳴らしている

 1912年(明治45年)2月8日付の読売新聞はこう書き出し、ブームの様子を伝えている。

 記事によると、ビリケンは1908年、米国の女性美術家の夢に現れ、「俺様の像を作ればお前の名声は世界にとどろく」と告げた神様という。女性は像を作り、シカゴの展覧会に出品したところ、幸運のマスコットとして大評判になり、海を越えて日本にも伝わった、と。

 ちなみに当時、足指をくすぐるとビリケンが笑うとの説明書があり、客を求める芸者らがビリケンの「頬の落ちるまで」くすぐったらしい。

大統領の愛称?

 「ビリケンさんの手は短く、足に届かないでしょう? だから代わりにくすぐってあげ、笑ってもらうことで福を授かるんです」

 そう教えてくれたのは、通天閣観光の西上雅章会長(70)だ。

 通天閣にビリケン像が初めてお目見えしたのも、先に紹介したブームまっただ中の1912年のこと。新世界にオープンした遊園地に、異国の神様としてまつられたのが始まりらしい。

 最後までひっかかった名称の由来について、西上会長に聞いた。

 結論は「諸説ある」とのこと。1908年の選挙で圧勝したウィリアム・タフト第27代米大統領の愛称「ビリー」にちなんだとも、カナダ北部の先住民族に伝わる「ベリケン」と呼ばれる人形だとも言われているそうだ。

 100年以上も前に米国人の夢枕に立ち、今も神戸の人々に親しまれているビリケンさん。コロナ禍の今はなかなか触ることもできないが、「タッチできる日が来るまで、変わらずに見守ってくれるはずです」と西上会長は話す。

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1825963 0 社会 2021/02/07 19:14:00 2021/02/07 19:50:23 2021/02/07 19:50:23 米俵に座り、右手に打ち出の小づちを持つ松尾稲荷神社のビリケンさん(神戸市兵庫区東出町で)=八木良樹撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210207-OYT1I50025-T.jpg?type=thumbnail

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