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接触アプリ、外部から不具合指摘も対応せず…厚労省ずさんな管理

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 新型コロナウイルス対策のスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合が約4か月放置された問題で、厚生労働省のずさんな対応が明らかになってきた。同省は委託業者に実機を使ったテストを求めていたとしているが、実際には簡易なテストで済ませることを了承。昨年に外部から不具合を指摘されていたのに、対応しなかった。厚労省は専門チームで経緯を検証する方針で、チェック態勢も強化する。

■「対応急いだ」

 ココアは、陽性と判明した利用者が保健所から発行された処理番号をスマホに入力すると、その人と過去14日以内に「1メートル以内に15分以上」の接触があった利用者に、接触があったことを通知する。東京のIT会社が約1億円で開発を受注し、下請け計3社に再委託して構築。昨年6月から配布が始まり、保守管理もIT会社が受注し、再委託している。

 厚労省によると、不具合は、グーグルの基本ソフトのアンドロイド版で起きた。昨年9月、下請けのアプリ開発会社(東京)がプログラムを改修した際にミスがあり、陽性判明者と接触があったことが通知されない状態となった。

 スマホには、スマホ同士が接近した記録を保存する機能が備わっており、ココアはこの記録を引き出し、濃厚接触の有無を判定している。改修ミスで正しい情報が引き出せない状態だったが、アプリ開発会社はコンピューター上でアプリの動作を限定的に確認する模擬的なテストだけを実施。実際のスマホを使って情報を引き出せるかどうかを確認しなかったため、ミスが発覚しなかった。

 厚労省は元請けのIT会社と、開発・改修時に実機を使ったテストを行うことを取り決めていたが、今回の改修については模擬的なテストで問題ないと判断して了承していた。担当者は「急いで対応する必要があったためだ」としている。

■専門家不在

 不具合を指摘する外部の声も生かせなかった。

 指摘があったのは、プログラムをネット上で公開し、技術者らに問題点を指摘してもらう専門サイト。厚労省が改修されたバージョンを公開したところ、昨年11~12月に、匿名で今回の不具合と、その分析内容が複数投稿されていた。

 厚労省は投稿内容の確認を元請けに任せていたが、再委託先を含め、どの業者が作業を実施するのかさえ把握していなかった。

 不具合は、昨年末からSNSで「感染者と接触したのに通知が来ない」などとの投稿が相次ぎ、アプリ開発会社が1月になって実機テストを行って判明。厚労省はその時点で初めて指摘があったことを把握した。

 アンドロイド版のダウンロード件数は今月3日時点で、iPhone(アイフォーン)版を含む全体の3割にあたる770万にのぼる。厚労省幹部は「オンラインシステムの専門家は増強してきたが、アプリの専門家がいない。業者任せにしていたと言われても仕方がない状況だった」とする。

 アプリ開発に詳しいIT会社「h2ワークス」の増田智明・技術顧問は「アプリに不具合はつきもので、発注者と開発現場が協力して原因を調査し、完成度を高めていくのが常識だ。今後は発注者の厚労省が責任をもって対応し、役立つアプリにしてほしい」と話す。

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1834991 0 社会 2021/02/10 22:56:00 2021/02/11 12:23:54 2021/02/11 12:23:54 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210210-OYT1I50085-T.jpg?type=thumbnail

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