自殺増加数、全国ワーストの県は…「いのちの電話」鳴りやまず
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神奈川県内の昨年の自殺者は前年比169人増の1245人(速報値)で、全国の都道府県で最も増加していたことが厚生労働省のまとめで分かった。増加率も15・7%で富山県に次いで2番目に多かった。6月以降は特に増加が目立ち、女性は5割増となった。同省や県は新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活苦などの悩みが深刻化しているとみて、相談窓口への連絡を呼びかけている。(荒木香苗、田ノ上達也)

同省などのまとめによると、6~12月に県内自殺者は、男性495人(前年同期比86人増)、女性304人(同101人増)の計799人。6月は91人(同5人増)、7月は115人(同15人増)、8月は113人(同31人増)、9月は100人(同17人増)、10月は149人(同60人増)、11月は116人(同30人増)、12月は115人(同29人増)と、増加傾向が続いている。
同期間の年代別では、50歳代が158人と最多で、40歳代が155人、20歳代が114人、70歳代が104人、30歳代が100人と続いた。60歳代は80人、80歳以上は62人、20歳未満は26人だった。原因・動機(判明分のみ)は、健康問題が299人と最多で、家庭問題112人、経済・生活問題が93人などとなった。
県がん・疾病対策課精神保健医療グループの担当者は「新型コロナの影響が長期化し、変化した生活環境にストレスや不安を感じている人が多い。不安などを感じたら、相談してほしい」と話した。
相談窓口は、無料通信アプリ「LINE」の「いのちのほっとライン@かながわ」へ。県のホームページでも内容ごとの相談先を紹介している。
「いのちの電話」相談員の不足深刻

「コロナの影響で仕事を失ったが、ハローワークに行っても自分に合う仕事が見つからない」、「学校を卒業して、何十社も受けたが内定がもらえない」――。横浜市内で活動する社会福祉法人「横浜いのちの電話」には、人間関係や精神的な悩みなどに加え、新型コロナ関連の相談も寄せられている。
一方で、対応する相談員の不足が深刻な課題となっている。コロナの感染拡大前は約160人いた実働できる相談員は現在、120人ほどまで減少。これまで続けてきた24時間の対応が組めない状況となっている。
相談員の多くは50~70歳代で、家族や本人が外出に不安を感じたり、医療や学校関係者も感染を懸念したりして参加できないことなどが主な理由だ。
電話は「鳴りっぱなし」の状態で、横浜いのちの電話事務局長の庄子徳義さん(68)は「コロナ禍の今こそ24時間活動を続けるべきだという意見は相談員の中にもある。命を救うために、できるだけ多く電話を取りたい」と、ボランティア相談員を求めている。
相談員の応募は15日まで。詳細は、同会事務局(045・333・6163)か、ホームページ(https://www.yind.jp/)で。