罪悪感・金の心配…子供と自宅療養、気が休まらなかったシングルマザー
完了しました
新型コロナウイルスに感染し、子供2人とともに東京都内の自宅で療養した女性(29)が読売新聞の取材に応じ、家庭での様子や今後の生活の心配について語った。女性は「子供にコロナをうつした罪悪感やお金の心配で、ずっと気が休まらなかった」と振り返る。(鍜冶明日翔)

女性は区部に住むシングルマザーで、長男(5)、次男(2)と3人暮らし。会社から委託を受け、飲料・食品の訪問販売をしている。
38度を超える発熱があったのは昨年12月25日。PCR検査を受けたところ、翌日に陽性が判明し、自宅療養が始まった。子供たちも濃厚接触者となり、2週間の自宅待機となった。
頭痛や悪寒、味覚障害などの症状に襲われたが、女性は「自分のことよりも、子供の体調が気になって仕方がなかった」という。
家の中では常にマスクを着け、子供と一緒に食事はとらないようにした。頭痛や
仕事に復帰したのは1月中旬。訪問販売の仕事は売り上げに応じて収入も増えるが、3週間休んだため、2月の給料が心配だという。児童扶養手当などを受給していても毎月ぎりぎりの生活で、家賃8万円が重くのしかかる。
昨年11月も、通っている保育園で感染者が出て次男が濃厚接触者とされ、仕事を休んで世話をしなければならなかった。
女性は「ひとり親家庭は誰か1人が濃厚接触者になっただけで、親は仕事ができなくなる。仕事があるだけましなのかもしれないが、早くコロナ禍が収束してほしい」と話している。
自治体も給付金で支援
都内のひとり親家庭は、2019年の都の推計では13万5400世帯に上る。新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり、就業時間が短くなったりして収入が減った世帯が多いとみられ、国は昨年8月と12月、児童扶養手当の受給者に対し、臨時特別給付金を1世帯5万円、第2子以降1人3万円を給付した。
国の給付金に上乗せした自治体もある。八王子市は国の給付とほぼ同時期に、1世帯当たり3万円と4万円の2回に分けて給付。目黒区は、児童1人につき5万円を2回支給した。狛江市は市独自の給付金のほか、児童1人につき最大で2万6000円分の商品券を送った。
一方で、上乗せ給付をしていない自治体に住むひとり親からは、「子供にご飯を食べさせられない」「文房具を買ってあげられない」などの相談も支援団体に寄せられているという。子供の学習支援などに取り組むNPO法人「キッズドア」(中央区)は、こうした相談を受け、国にひとり親世帯への追加の現金給付を要望した。
同法人の渡辺由美子理事長は「ひとり親の多くは生活保護を受けずに働きたいという意欲があるが、コロナ禍で仕事が見つかりにくくなっている」と指摘。「給付金でしのいでもらいながら、仕事の選択の幅を増やして職に就くチャンスを得るため、職業訓練を受けられる体制作りが必要」と訴えている。