自分史作り、生け花…巣ごもり時間に新たな挑戦「コロナ禍にはぴったり」
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新型コロナウイルスの影響で在宅時間が延び、家でできる趣味を始める人が増えている。感染終息のカギとなるワクチンの先行接種が今月から始まったが、多くの人はまだまだ先。他人となるべく接触しない巣ごもり生活は、自分を見つめ直したり、新たな趣味に挑戦したりするきっかけになっているようだ。
■見つめ直す
「コロナ禍がなければ、始めていなかった」
神奈川県横須賀市の男性(80)は昨年9月から、自身の生涯を文章や写真でまとめる「自分史」作りに取り組んでいる。
きっかけは、約10年間にわたり週に3回は行ってきた「傾聴ボランティア」が取りやめになったことだ。地域の病院や高齢者施設を訪ね、患者や入所者の身の上話に耳を傾けるのが生きがいだった。しかし昨春以降、感染防止のため、病院などへの出入りができなくなってしまった。
家でできる趣味はないかと考えていた昨夏、タウン紙で「自分史教室」を見つけた。「これを機に、しっかりした文章を書けるようになりたい」と決め、受講した。
作業は日記やアルバムなどを集め、見直すところから始める。チラシの裏などに長年書きためた日記は分厚いファイルで20冊。大手電機メーカーで働いていた現役時代や家族の写真を収めたアルバムは15冊に上り、書斎で1ページずつめくるのが日課になった。
「働いていた頃は妻が食事の支度や掃除をするのが当たり前だと考え、感謝の気持ちがなかったと日記を読み返して反省した。誰かに自分史を読んでほしいというより、自分自身を見つめ直すことが大事」。男性はそう語る。来月にも執筆を終えるという。
■部屋が華やぐ
「お花と枝の間はこれぐらいかな」。2月半ば、東京都内の会社員の女性(44)は、自宅マンションのリビングで紫色のスイートピーを手に取ると、慎重に生けていった。
ジムなどで体を動かすのが好きだったが、コロナ禍で自粛。仕事も在宅勤務で自宅で過ごす時間が長くなるなか、「お花なら家ででき、部屋の中も華やぐ」と考え、昨年11月から生け花教室に通い始めた。
教室で使った花を家に持ち帰り、花器や花瓶に生け替えて室内に飾っている。自分で好きな花を購入し、生けることもある。
「花を生ける時は無心になれ、見ているだけで心が癒やされる。コロナ禍にはぴったりで、続けていきたい」と笑顔を見せた。