生活保護費引き下げ、取り消す判決…大阪地裁「過誤や欠落があり違法」
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国が2013年から生活保護費を引き下げたのは生存権を保障した憲法に反するとして、大阪府内の受給者42人が国と大阪市など府内の12市に、引き下げ処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。
同種の集団訴訟は全国29地裁(原告計約900人)で起こされ、判決は2例目。引き下げ処分を取り消した判決は初めて。
国は、生活保護費のうち、食費などにあたる「生活扶助費」の基準額について、デフレによる物価の下落率を反映させるなどし、13年から15年まで計3回、平均6・5%引き下げた。
森鍵裁判長は判決で、生活保護法の規定に基づく基準額の設定について、厚生労働相に裁量権があると指摘。その上で、判断過程や手続きの妥当性を検討した。
森鍵裁判長はまず、国が物価の下落率を算定する起点を08年としたことについて、「消費者物価指数が11年ぶりに1%を超える上昇となった年で、(起点とすれば)下落率が大きくなることは明らかだ」と指摘。
さらに、生活保護受給者が頻繁に購入するとは考えにくいパソコンやテレビなどの大幅な価格下落が反映された指数を基に、国が改定率を定めたことに対し、「統計などの客観的な数値や専門的知見との整合性を欠く」と述べた。
その上で、厚労相の判断について「最低限度の生活の具体化という観点から、判断の過程や手続きに過誤、欠落があり、裁量権を逸脱している」とした。
判決後、厚労省は「内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメントした。