「ファクターX」が影響?コロナ禍で欧米より大幅に死者が少ないアジア

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 厚生労働省の人口動態統計速報で、昨年の全死亡数は、コロナ禍にもかかわらず11年ぶりに減った。死亡数を客観的に比較できる「超過死亡」でみても、日本は欧米に比べ大幅に少ない。一方で、出生数の減少には歯止めがかかっていない。(科学部 江村泰山、医療部 野村昌玄)

国内で新たに2万4904人コロナ感染…都内の1週間平均は前週の1・5倍に
  ◆超過死亡  感染症流行の影響を測るのに使われる統計指標。過去5年ほどのデータから予想される死亡数と、実際の死亡数の差を示す。インフルエンザが流行した年は、インフルエンザを直接の死因とする死亡数の増加だけでなく、呼吸器や循環器など様々な病気での死亡数も増加することから考案された。

「驚くほど減っている」風邪症状の受診

 日本の昨年の全死亡数は約138万人で、前年より9373人減った。死因別では、昨年1~9月、肺炎死が前年同期より1万2456人減の5万8822人だった。インフルエンザは同2314人減、心疾患は同4573人減などと軒並み減少した。

 インフルエンザ患者の減少は医療現場でも実感されている。東京都板橋区の「すがやこどもクリニック」の菅谷明則院長は「風邪の症状で受診する子供が驚くほど減っている」と話す。例年、流行期には1日20人以上に検査を行うが、全く行わない日もあるという。

 死亡数の減少について、東京慈恵会医科大の浦島充佳教授(公衆衛生学)は、「マスク着用や手指消毒の徹底で、感染症全般が減ったと考えられる」と指摘する。感染症の減少は、脳血管疾患や心疾患による死亡数の減少にもつながるという。

アメリカは49万人に

 日本の死亡数減少は欧米と比べても際立つ。新型コロナの死亡数は各国で報告基準が異なるため、単純比較は難しい。注目されているのが「超過死亡」という指標だ。

 イスラエル・ヘブライ大などの研究チームによる世界80か国・地域の集計によると、20日現在、米国49万人、ロシア35万人、英国11万人の超過死亡が出た。欧米でもインフルエンザ患者は大きく減っているが、新型コロナの感染爆発がそれに増して死亡数を増加させたことを物語っている。

 一方、日本は超過死亡でも、マイナス2万1000人と逆転し、死亡数が減ったことを裏付けた。フィリピンでもマイナス2万2000人、台湾は同5600人など東アジアで超過死亡が少ない。中国はデータがない。横浜市立大の五十嵐あたる准教授(医療統計学)は「公衆衛生の観点では、日本のコロナ対策は良かった」と述べる。

 ただ、医療体制や生活習慣が異なる東アジア各国が、欧米に比べ超過死亡が少ない原因は、公衆衛生対策だけでは説明しにくい。過去の類似ウイルスによる免疫の記憶や、結核予防のBCGワクチンによる自然免疫系の強化が影響したとの仮説があり、「ファクターX」とも呼ばれている。

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