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コロナ禍で自殺者が増加傾向にある中、身近な人の悩みに気づき、支援につなげる「ゲートキーパー(命の門番)」の養成に注目が集まっている。政府も自殺対策の柱として位置づけ、各自治体に養成を求めている。(小泉朋子)
「普段の声かけの中で、異変に気づくこと。これがゲートキーパーの役割です」。昨年12月にオンラインで開かれた養成講座で、NPO法人「日本ゲートキーパー協会TOKYO」代表理事の森本美花さん(46)は参加者にこう語りかけた。
ゲートキーパーは、自殺の危険を示すサインに気づき、医療機関や専門家などの支援につなぐ存在だ。政府が2007年に作成した自殺総合対策大綱に養成の必要性が盛り込まれた。特別な資格は必要なく、各地で養成講座が開かれている。
19年から活動を始めた同協会では、一般の人や自治体職員らを対象にこれまで30回の養成講座を行ってきた。講座では、身近な人の異変に気づき、相手が安心できる環境を整えて話を聞き、支援につなぐことなど、ゲートキーパーの役割を具体的に伝える。
コロナ禍では、リモートワークを導入した企業の人事担当者らから「パソコンの画面では部下の様子の変化がわかりにくい。どう観察すればよいのか」などの質問が寄せられている。森本さんは、堅苦しくないメールを送ることなどをアドバイスしている。
同協会理事の菅原玲子さん(43)は自らの経験をもとに「誰かが自分を気にかけてくれていると感じられれば、生きる勇気がわいてくる」と話す。