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「寅さん」ゆかり、閉店の老舗料亭を区が取得へ…230年の歴史・景観保護

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 新型コロナウイルス禍に伴う客足の減少を受け、1月末に約230年の歴史に幕を下ろした東京都葛飾区柴又の老舗料亭「川甚」について、同区の青木克徳区長は3日の区議会予算審査特別委員会で「文化的景観を守るため、有効活用していく」と述べ、区が土地と建物を取得する方針を明らかにした。

葛飾区が取得する方針を明らかにした老舗料亭「川甚」。映画「男はつらいよ」のロケ地にもなった(葛飾区柴又で)
葛飾区が取得する方針を明らかにした老舗料亭「川甚」。映画「男はつらいよ」のロケ地にもなった(葛飾区柴又で)

 区は建物内で川甚ゆかりの品を一般に広く公開するとともに、柴又の文化を発信する拠点としても活用する方向で調整している。川甚の8代目社長を務め、閉店を決断した天宮一輝さん(69)は取材に対し、「柴又で長く商売をしてきたので、区に有効活用してもらえるのが一番よい」と売却に応じる意向を示した上で、「残された資料などを公開するという区の構想にも賛成だ」と語った。区は川甚側と取得価格などの協議を進めて年内にも正式な契約を結び、具体的な再整備計画づくりに着手する。

 川甚は、江戸川でとれたコイやウナギを使った川魚料理を提供する船宿として、江戸時代後期の1790年に開業した。1969年公開の映画「男はつらいよ」の第1作では、主人公・車寅次郎の妹、さくらの結婚披露宴の舞台となり、幸田露伴や夏目漱石らの小説にもたびたび登場した。だが、コロナ禍で団体客や会合の予約が激減し、1月末に惜しまれながら閉店していた。

 川甚の周辺には、柴又帝釈天のほか、柴又と千葉県とを舟で結ぶ「矢切の渡し」もあり、江戸時代の情緒を色濃く残している。2018年には文化庁の「重要文化的景観」にも選定されており、区は跡地がマンションなどとして再開発される事態を防ぐため、取得方針を川甚側に伝えていた。

 川甚を訪れた作家の三島由紀夫や松本清張、漫画家の手塚治虫、映画監督の黒沢明らのサインや、江戸川のほとりに店を構えていた1905年当時の写真なども残されており、区はこれらの品を広く公開することも検討している。

 町並みを守るための区の取り組みについて、地元からは歓迎の声が相次いだ。閉店直前に予約し、ウナギ料理などを堪能したという同区金町の主婦(74)は「跡地にマンションが建つのではないかと心配していたので、よい考えだと思う。資料館などをつくって柴又の魅力を発信する場にしてほしい」と話した。柴又帝釈天参道を訪れていた近くの男性(72)も「川甚は長い歴史があっただけに、閉店を残念に思っていた。柴又をさらに盛り上げるような施設ができることを期待している」と語った。

「寅さんのふるさと」守る…青木・葛飾区長に聞く

「住民が作りあげてきた柴又の雰囲気を残したい」と語る青木克徳区長
「住民が作りあげてきた柴又の雰囲気を残したい」と語る青木克徳区長

 葛飾区の青木克徳区長が読売新聞のインタビューに応じ、柴又の歴史を担ってきた老舗料亭「川甚」の跡地取得事業について、「都内で唯一、国の重要文化的景観に選定された川甚を含む柴又地域を守ることにつながり、『寅さんのふるさと』として保存・活用することも可能になる」と意義を強調した。

 区は今後、土地と建物の具体的な利用方法を巡る検討を重ねていく方針だ。青木区長は構想の一つとして、新館を改修して川甚のゆかりの品などの展示を通じて柴又の文化や歴史を伝える「資料館」とする案を明らかにした。一方で、青木区長は「地元住民や議会、専門家などの意見を聞いて決めていくのが望ましい」とも述べ、「マンションなどの開発を防げれば、検討には少し時間をかけてもいいと考えている」とした。

 区は購入費の一部に国や都からの補助金を充てることも視野に入れており、青木区長は「事業を着実に実現させ、訪れる人が喜んでもらえる『魅力ある柴又』を次世代に残していけたらと思っている」と語った。

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1885203 0 社会 2021/03/04 07:06:00 2021/03/04 10:41:09 2021/03/04 10:41:09 葛飾区が跡地の取得を検討している川甚(東京都葛飾区柴又で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210304-OYT1I50007-T.jpg?type=thumbnail

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