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困窮する妊婦「死にたいと追い詰められた」…官民で支援の輪

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 貧困などで育児が困難な「特定妊婦」らに生活場所を提供するなどして、妊娠中から産後までサポートする取り組みが官民で広がっている。医療だけでなく、福祉の専門家も関わり、生まれたばかりの子どもの虐待防止につなげるのが狙い。新型コロナウイルスの感染拡大後、妊娠相談は増えており、支援を加速させている。(斎藤七月、川崎陽子)

■「居場所できた」

妊婦の相談に乗る「ボ・ドームダイヤモンドルーム」の職員(大阪市平野区で)=前田尚紀撮影
妊婦の相談に乗る「ボ・ドームダイヤモンドルーム」の職員(大阪市平野区で)=前田尚紀撮影

 大阪市の社会福祉法人「大念仏寺社会事業団」は昨年10月、市の委託を受け、産前・産後の母子支援に取り組む「ボ・ドームダイヤモンドルーム」を開設した。社会福祉士や助産師ら4人が交代で匿名の妊娠相談に電話やメールで応じる。必要があればスタッフが病院受診や役所への手続きに同行し、居住スペースも提供する。これまでに計20人の支援を始めた。

 4月出産予定の女性(23)もその1人。未婚で長男(3)を1人で育ててきたが、別の男性との間に第2子を妊娠した。男性はその後女性の元を去り、生活は困窮。頼れる親族もおらず、知人から同施設を勧められた。

 支援を受けながら長男と暮らす女性は「子どもと死にたいと追い詰められていたが、居場所ができてほっとした」と話した。

■行政との接点なく

 厚生労働省の調査では、2003~18年度に虐待(心中以外)で死亡した子ども833人のうち、生まれた日に死亡した「0日児」は156人。母親の年齢は10~20歳代が3分の2を占め、医療機関で生まれた子はいなかった。ほとんどの母親は行政との接点がなく、支援の網から漏れていた。

 国は19年度、妊娠中から継続して特定妊婦らをサポートする自治体を財政面で後押しする事業を本格的に開始。自治体はこうした妊婦を早く支援につなげられるよう、妊娠相談の窓口を広げている。

 また、出産後に生活が立ち行かなくなり虐待につながるケースもあるため、住まいがない妊婦には滞在場所を提供する。育児が可能な場合は、自立に向けた支援などを行う一方、育児が難しければ里親や特別養子縁組などを紹介する。

 19年度は兵庫県や広島県など8自治体が始め、今年度は大阪府や大阪市、福岡市も導入した。広島県の担当者は「相談できずに困っている人を広く受け止めたい」とする。

■「予期せぬ妊娠」

 コロナ禍で妊娠相談は増えている。「予期しない妊娠」の相談も多いとされ、厚労省の研究班は実態調査を始めた。

 24時間無料で妊娠相談に応じる一般社団法人「小さないのちのドア」(神戸市)では、感染拡大の前に月20~30人ほどだった新規相談者が、昨年4月は89人と急増。同10月には155人に上った。危機感を強めた同法人は昨年12月、ネットなどで寄付を集め個室5部屋を備えた妊婦の滞在施設を開設。これまでに10~20歳代の計7人を受け入れた。

 代表理事で助産師の永原郁子さん(63)は「コロナで収入も減り、行き場がなくなる妊婦は今後増える可能性がある」と指摘する。

 日本財団(東京)は昨年夏、「妊娠SOS相談窓口推進事業」を開始。公募で選んだ12団体に2000万円を上限に助成し、相談窓口の設置や居場所が必要な妊婦の受け入れを促す。

 一般社団法人「全国妊娠SOSネットワーク」(東京)の赤尾さく美理事は「貧困や虐待で身寄りがない妊婦は少なくない。自立に向けて切れ目ないサポートが必要だ」と話した。

 ◆特定妊婦=児童福祉法では、若年妊娠や経済的な困窮などで「出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と規定。全国の要保護児童対策地域協議会には7233人(2018年4月現在)が登録され、関係機関の支援対象になっている。ただ、登録されていない妊婦も一定数いるとみられる。

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1899084 0 社会 2021/03/10 06:35:00 2021/03/10 06:35:00 2021/03/10 06:35:00 (※妊婦は顔出しNG) 妊婦(右)のお腹を撫でながら話を聞く広瀬みどりさん(26日、大阪市平野区で)=前田尚紀撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYT1I50017-T.jpg?type=thumbnail

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