【独自】最高検、サイバー専門班を新設へ…電子データ復元技術も共有
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最高検は4月から、最先端の情報通信技術を悪用した犯罪に対応するため、捜査・公判態勢の強化を柱とする組織再編を行う方針を固めた。東京地検特捜部での捜査経験が豊富な検事や、サイバー事件に精通した検事を集めたチームを新設し、全国の高検・地検にも担当検事を配置。各地の検察庁が担う捜査や公判を支援するほか、特捜事件で活用している「デジタル・フォレンジック(DF)」などの技術の共有も進める。
児童虐待対応も強化
全国の警察が摘発したサイバー犯罪の件数は増加の一途をたどり、2020年は9911件(暫定値)で過去最多となった。ダークウェブと呼ばれる闇サイト上の犯罪など解明が困難な事例も多い。起訴・不起訴の判断や公判での立証に高度な知識が必要なケースが増える中、検察当局は組織全体として対応を強化する必要があると判断した。
組織再編では、最高検に「先端犯罪検察ユニット(JPEC)」と名付ける班を新設。検事5人と検察事務官数人を配置し、サイバー事件や情報技術を悪用した犯罪に詳しい検事らにもサポートさせる。JPECを核とする最高検のチームは、全国の担当検事と捜査や公判の問題点を協議して解決を目指すほか、成果や課題を収集・分析。外部の専門機関とも連携して効果的な立証方法を検討する。
DFは、スマートフォンやパソコンから書き換えたり、消去されたりした電子データを復元する技術で、東京や大阪といった大規模な地検にはDF専門の部署が設けられている。最高検は、スマホやパソコンが多くの犯罪で用いられている実情を踏まえ、特捜事件以外の捜査や公判にもDFの解析結果を活用するため、検察全体で知識やノウハウの共有を図る。