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きっかけは路上ライブ、両手が奏でる音色でひとり親支援を…「夢諦めないで」

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 両手を組んで作った空間に息を吹き込んで音を鳴らす「手笛」の奏者、なかしま拓さん(25)(福岡市博多区)が、新型コロナウイルスの影響で経済的に苦しむひとり親家庭を支援する活動を2月にスタートさせた。そのきっかけは、路上ライブを聴いてくれたシングルマザーから聞いたコロナ禍での苦境だった。自身も母子家庭で育った経験を持ち、「微力だが、僕の力で一人でも多くの笑顔を作れたら」と願う。(池園昌隆)

路上ライブで手笛の演奏を披露するなかしまさん(17日、福岡市・天神で)=池園昌隆撮影
路上ライブで手笛の演奏を披露するなかしまさん(17日、福岡市・天神で)=池園昌隆撮影

 17日午後、福岡市・天神の路上。なかしまさんは祈るような姿勢で、オカリナに似た透明感のある音色を響かせていた。「ハナミズキ」「糸」など6曲を演奏した。

 聴衆の目につく所に、2月と3月に発売した2種類の新作CDを並べた。売り上げ1枚につき300円をひとり親の支援に充てる計画を説明すると、「音色に感動した」という市内の男性(70)らが賛同して購入してくれた。

 福岡市出身。中学3年のとき、両親が離婚し、母親と弟との3人暮らしが始まった。高校生になると、パートに出る母親の代わりに家族の夕食を用意した。ギターを始めた友人に触発されて音楽に興味を持った。ただ、母親の年収は200万円に満たず、楽器を買う余裕はない。小学生の頃にテレビ番組で見た手笛奏者の映像を思い出し、「これならお金がかからない」と、独学で練習を重ねた。

 20歳の頃、福岡市内で初めて路上ライブをした。演奏後、ホームレスらしき男性から、くしゃくしゃになった千円札をポケットに突っ込まれた。「手笛で人の心を動かすことができたのだろうか」。この道で生きていくことを決め、大学卒業後、フリーランスとして、市内の街角で路上ライブを週5、6回重ねてきた。

 テレビ出演したり、阪神大震災の被災地で追悼演奏したりすることもある。今月11日には、新型コロナで不自由な生活を強いられた卒業生を元気づけてほしいと、福岡県飯塚市の小学校に招かれ、子どもたちに人気の曲を披露した。

 新型コロナの感染拡大で、収入源のライブやイベントへの出演機会は激減し、同居する母親はパートの職を失った。だが、未成年の子どもを持つひとり親は、それ以上に苦労していると実感する出来事があった。

 昨年6月、路上ライブを聴いてくれたシングルマザーから「一斉休校で給食もなくなり、子どもの食費が大変だった。それなのにパートをクビになった」と打ち明けられた。

 「お金がないという理由で夢を諦めてしまう子もたくさんいる。自分にできることは何か」と考えた。演奏を収録したCDを販売し、売り上げの一部を社会福祉法人「福岡県母子寡婦福祉連合会」(春日市)を通じ、寄付することを決めた。

 寄付先となる同連合会の担当者は「独自の奨学金などの事業に活用したい」と感謝する。なかしまさんは「ひとり親家庭を支援することは、母への恩返しにもなると思う。夢に挑戦できる子が少しでも増えてくれれば」と語った。

 発売中のCDは、自身と県在住の音楽仲間の計4人で共作した「healing」(税込み2000円)とソロの作品「雪月花せつげつか」(同1500円)で、ともにオリジナル曲とカバー曲で構成する。サイト(https://takucd.base.shop/)でも販売している。

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1928427 0 社会 2021/03/22 15:22:00 2021/03/22 15:22:00 2021/03/22 15:22:00 路上ライブで手笛演奏を披露するなかしまさん(17日午後2時59分、福岡市中央区で)=池園昌隆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210322-OYT1I50047-T.jpg?type=thumbnail

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