雪崩事故死の息子、「大型バイク」夢見ていた…父が免許取得「一緒に走ろうな」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 栃木県那須町で県立大田原高校山岳部の生徒と教諭計8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故から、27日で4年となった。亡くなった佐藤宏祐さん(当時16歳)の父、政充さん(52)は事故後、息子が憧れていた大型バイクの免許を取得した。「一緒に乗っているような気持ちになれる」と宏祐さんに見立てたお守りを携えて、バイクを走らせる。

宏祐さんが憧れていたバイク「KATANA」の模型を手にする政充さん(13日、大田原市の自宅で)
宏祐さんが憧れていたバイク「KATANA」の模型を手にする政充さん(13日、大田原市の自宅で)

 宏祐さんは、好きなアニメの影響や高校に原付きバイクで通学していたこともあってバイクが大好きだった。旧車に憧れ、特にお気に入りだったのはスズキの大型二輪車「KATANA(カタナ)」。政充さんの若い頃にはやっていたモデルで、親子でバイク雑誌をのぞいては「大学に行ったら乗りたいね。ツーリングしたいね」と語り合っていた。

 事故後、何か前向きになれることをと考えたとき、思ったのが宏祐さんの夢を引き継ぐことだった。2018年6月に大型二輪免許を取得し、宏祐さんが好みそうな、カワサキの旧車をオマージュしたようなモデルを購入した。8月には事故現場の付近まで走らせ、茶臼岳を背景にバイクの写真を撮った。「買ったぞ。一緒に走ろうな」。その道中は、宏祐さんが後ろに乗っているような不思議な感覚に包まれたという。

宏祐さんに見立てたお守り。親子で好きだった緑色のヘルメットをかぶっている(政充さん提供)
宏祐さんに見立てたお守り。親子で好きだった緑色のヘルメットをかぶっている(政充さん提供)

 以来、那須や日光、福島などに何度も出掛けた。宏祐さんに見立てた、「バイク神社」として知られる安住神社(高根沢町)のてるてるぼうずのお守りも一緒だ。ただ、自宅に帰れば宏祐さんの写真が目に入り、「やっぱり、いないよな」と現実を突きつけられる。その繰り返しだ。

 今年1月には、成人式に参加した小学校の同級生から、6年生の宏祐さんが20歳の自分にあてた手紙が届けられた。一言目は「元気かい」。涙があふれた。「この先も何か節目を迎えるたびに、こんな思いをしなくちゃいけないのか」。母、美津子さん(47)も「一緒にお酒が飲めたのにね。オリンピックも観戦したかった」とつぶやいた。

 事故から4年となった27日は、午前中から宏祐さんの友人たちが佐藤さん宅を訪れた。政充さんは、宏祐さんの墓前で「いつまでも息子。ずっと寄り添っていたいし、愛している」。そう語りかけた。

 悲しみが癒えることはないが、この春からはバイクでご朱印集めをしようと思っている。「まずは、宏祐の好きだったアニメの舞台である(茨城県大洗町の)大洗磯前神社を目指そうかな」。息子とのつながりを持ち続けたいと願っている。

スクラップは会員限定です

使い方
「社会」の最新記事一覧
1943271 0 社会 2021/03/28 12:19:00 2021/03/28 13:31:09 2021/03/28 13:31:09 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210327-OYT1I50072-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)