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新型コロナウイルスの感染拡大後、経営環境の悪化やテレワークの推進で、オフィスを移転、縮小する企業が相次いでいる。使わなくなった机や椅子は業者によって回収され、在宅勤務をする人に売却されたり、リユース(再使用)品として海外に輸出されたりしている。
売れ筋3万円台
千葉県柏市。中古家具販売「オフィスバスターズ」の倉庫(約1万1550平方メートル)には、デスクや椅子など約2万点が並ぶ。コロナ禍の昨年は、企業からの買い取り件数が前年より約3割増えた。

オフィス仲介大手「
オフィスバスターズでも、都心から撤退するなどした企業から買い取った品が多い。その販売先は以前、大半が法人だったが、コロナ禍後は個人客の売り上げが急増し、2月は前年同月比の約4倍に上った。
自宅勤務の際、長時間座っても疲れにくい椅子を探す客が多く、蒸れにくいメッシュ素材の背もたれや、腰痛防止の腰当て、ヘッドレスト付きが人気。売れ筋は1脚3万~3万5000円くらいだという。
先月30日、同社錦糸町店(東京)を訪れていた建設設計会社社員、藤井直斗さん(27)は「4月から週の大半が在宅勤務になるので、体にフィットする椅子を探している」と言って、座り心地を試していた。
オフィスバスターズの大崎博史執行役員(36)は「家で仕事をするスタイルが浸透しつつあり、個人客の需要はさらに増えそうだ」と期待する。
タイ輸出
本社移転した企業や、廃業した飲食店から回収した不用品を海外に輸出する会社もある。

「トライシクル」(品川区)は主に首都圏で、棚、ロッカー、食器などを無料で回収。トラックで同社のリサイクルセンター(千葉県富津市)に運んで洗浄したり、修理したりした上で、企業・店舗向けオークションに出品するなどしている。
2019年下半期(7~12月)に月平均541個だった回収数は、感染拡大後の翌年同期は1256個に急増。一方、リユース品を購入する企業や店が減っているため、昨年12月からタイへの輸出を始めた。
福田隆社長(47)は「タイでは日本のテーブルやソファなどが喜ばれる。今後、東南アジアのほかの国や中東に販路を広げ、廃棄物の削減にもつなげたい」と話す。