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北海道厚岸町床潭の山林で10日、ヒグマに襲われたとみられる男性が死亡した。厚岸署などが警戒を続けているが、10日夜の時点でヒグマは見つかっておらず、付近の住民は不安を訴えた。ヒグマによる人身被害で死亡したケースは3年半ぶり。冬眠明けで活動が活発になる時期で、道などは注意を呼びかけている。
現場は、厚岸霧多布昆布森国定公園内の高台にある山林。同署によると、釧路市の60歳代の男性はこの日、妻とともに山菜採りに訪れていた。午前10時頃、近くの町道に乗用車を止めて山林に入っていった後、妻と分かれて行者ニンニクなどを採っていた。だが、妻が悲鳴を聞き、その方向を見ると、男性が襲われていたという。
町内の自然に詳しい厚岸水鳥観察館主幹専門員の渋谷辰生さん(52)によると、近年は、現場付近でヒグマが目撃されるようになっていた。近くの集落に暮らし、コンブ漁を営んでいる70歳代の女性は「まさか襲われるとは」と不安そうに話した。
道自然環境課によると、道内でヒグマによって死亡する人身被害は2017年10月に白糠町で山菜採りをしていた男性が襲われて以来という。
4月は、冬眠明けのヒグマがエサを活発に探し求める時期のため、人と遭遇する確率が高まりやすい。1989年4月~2021年1月のヒグマによる被害者数を月別にみると、4月は計10人で、10月に並んで最多だった。今年は少雪で冬眠明けの時期が早まる傾向にあり、同課の担当者は「山に入る際は、例年以上に注意してほしい」と呼びかけている。