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クレーン車が突っ込み長男亡くした男性、あふれる思いを歌に乗せ…SNSで発信

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 栃木県鹿沼市でクレーン車が小学生の列に突っ込み、児童6人が亡くなった事故から18日で10年。当時9歳の長男大芽君を亡くした伊原高弘さん(49)は、ある歌手との出会いから「命の重さを知る自分だから伝えられることがある」と音楽活動を始め、人生に悩む人へメッセージを送る。

昨年12月に出品したCDを手にする伊原さん。歌詞カードには大芽君の写真が印刷されている(8日、栃木県鹿沼市の自宅で)
昨年12月に出品したCDを手にする伊原さん。歌詞カードには大芽君の写真が印刷されている(8日、栃木県鹿沼市の自宅で)

 「生きている意味が分からなくなった」と、事故後の心境を振り返る。どこに行っても大芽君はいない。いつしか家族で出掛けることもなくなった。

 転機は2014年。妻の加奈子さん(50)が宇都宮市の商業施設で歌っていた歌手の半崎はんざき美子さん(40)の優しい歌に感動し、事故のことをつづった手紙を出した。翌年、同じ商業施設を訪れた半崎さんは、「昨年、ここで出会った家族を思って」と、「明日へ向かう人」を披露した。

 声を枯らして泣いても辿り着けない場所がある それでも生きることを 信じることをあきらめないで――

 曲を聴いた伊原さんは涙した。夫婦で半崎さんのコンサートに足を運び、交流も始まった。自分でも歌ってみたいとギターを買った。すると、思いが歌詞となって頭の中にあふれた。ギター教室の先生の協力で作詞作曲して自ら歌い、19年6月から動画投稿サイトやSNSに載せた。「生きるのがつらい」「病気の息子の力になってほしい」とメッセージが届くようになり、そうした思いも歌詞にして歌うと、反響はさらに広がった。

 たった一つの命よ 誰かの生きたかった明日を生きてくれ――

 昨年12月、この「たった一つの命」など9曲を収めたCDを、フリーマーケットアプリ「メルカリ」に出品した。「大芽のように生きられなかった人の分も生きてほしいと思いを込めた」

 大芽君は、伊原さんがコーチを務めるサッカー少年団に所属し、いつも笑顔でチームメートにかわいがられていた。家では東日本大震災の後、余震が怖くて加奈子さんと一緒に寝ていた甘えん坊だった。

 そんな日々は戻ってこないが、10年がたち、自分にもできることがあると気づいた。「誰かのために歌い、命の大切さを伝えるのが私が生きる意味だと、大芽が教えてくれた。聴いた人が少しでも命について考えてくれたら」

てんかん理解、診療充実図る

 運転手のてんかんの発作が原因となった鹿沼市の事故後、栃木県は2015年度に厚生労働省が始めたてんかん診療のモデル事業に指定され、自治医科大学付属病院の「てんかんセンター」を診療拠点機関に、診療体制の充実を図ってきた。

 また県は医療従事者だけでなく、教職員や一般の人向けにもてんかんに関する講演会を開催。症状や運転免許との関わりなどを説明し、正しく理解してもらうよう努めている。

 一方、栃木県警は全19署と運転免許センターで病気を抱える人や高齢者などからの「運転適性」に関する相談を受け付けている。

 運転免許管理課によると、事故前年の2010年は621件で、20年には2626件に増加。内容は、脳疾患に関するものが858件、認知症が415件、てんかんが233件だった。相談後、222人が免許を自主返納した。

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1995024 0 社会 2021/04/19 11:05:00 2021/04/19 11:05:00 2021/04/19 11:05:00 CDを手にする伊原さん。歌詞カードには大芽君の写真が印刷されている(8日午後9時26分、鹿沼市上殿町の自宅で)=割田謙一郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210418-OYT1I50022-T.jpg?type=thumbnail

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