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東北のジャズ喫茶、コロナ禍に「黙って聴く」で静かなブーム

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6県で50店以上

 1960~70年代に流行し、東北地方に今も数多く残るジャズ喫茶が静かなブームを迎えている。コロナ禍で多人数の会合が自粛を求められる中、店主がえりすぐりのレコードやCDをかけ、客はコーヒーをすすりながら黙って耳を傾けるスタイルが見直されている。

昔ながらのジャズ喫茶の雰囲気を残す「エルヴィン」とマスターの安藤さん(4月9日、宮城県登米市で)
昔ながらのジャズ喫茶の雰囲気を残す「エルヴィン」とマスターの安藤さん(4月9日、宮城県登米市で)

 宮城県登米市にある「エルヴィン」は、人の背丈ほどもある巨大なスピーカーが二つ鎮座する。昔ながらのジャズ喫茶の雰囲気を今に伝える。「生演奏のようにスピーカーから鳴らす」と話すのはマスターの安藤吉英さん(72)。86年の開店以来、スピーカーからネジ1本に至るまで、オーディオ機器の改良を続けている。こだわりの音を聴きに、全国各地からジャズファンが訪れる。

 かつてのジャズブームは60年代に巻き起こり、ジャズ喫茶も全国に普及。鑑賞に集中するよう「会話禁止」のはり紙を掲示する店も多かった。今ではそうしたルールは廃れたが、鑑賞が主体であることは変わらない。

 東北では戦後間もない頃、仙台市に進駐軍の施設があり、米軍関係者向けの娯楽としてジャズが盛んだった。ファンから「日本一音がいい」と評される岩手県一関市の名店「ベイシー」が70年に開店した影響もあり、ファン向けウェブサイト「ジャズ喫茶案内」によると、東北6県に50店以上があるという。

 宮城県栗原市のラムサール条約登録湿地、伊豆沼を一望する高台にあるジャズ喫茶「カフェ・コロポックル」は2016年に新規開店。夏はハスが水面みなもを覆い、冬は水鳥たちが羽を休める。

 大学時代からジャズにのめり込んだ店主の杉本豊さん(68)が、東京のIT企業を早期退職し、友人から紹介された土地に店を開いた。その日の客に合わせ、約6800枚のアルバムから選曲。自作のオーディオ機器から、周囲とマッチした澄んだ音を流す。

 常連客の一人で、同市出身の俳優おかやまはじめさん(57)は「ジャズを聴きながら静かに本を読んでいると、気持ちを切り替えられるんです」と魅力を語った。

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2024468 1 社会 2021/05/01 15:00:00 2021/05/01 21:40:50 2021/05/01 21:40:50 1メートルを優に超える両スピーカーから繰り出される大音量は、生音のようで不思議とうるさく感じない。「それがいい音の証し」と安藤さん。ジャズだけでなく、ロックや環境音まで流す。(9日、登米市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210501-OYT1I50067-T.jpg?type=thumbnail

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