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「わいせつ論争」「地震で倒壊」何度傷ついても立ち上がるダビデ像

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 島根県奥出雲町内に設置され、「わいせつ論争」などを引き起こしたダビデ像が、広島県呉市で第二の人生を過ごしている。島根県西部地震で倒壊した後、修復されて再び展示。かつて町に彫刻作品を寄贈した地元出身で、広島市在住の若槻一夫さん(85)は「作品を通じて奥出雲の名を広める機会ができた。傷だらけになっても、前を向く姿がコロナ禍でつらい思いをする世界の人々の励みになれば」と願う。(佐藤祐理)

ダビデ像に寄り添う若槻さん。頭部は奇跡的に無事だった(広島県呉市で)
ダビデ像に寄り添う若槻さん。頭部は奇跡的に無事だった(広島県呉市で)

 像は、イタリアの彫刻家エンツォ・パスクイニ氏(故人)が、ルネサンス期を代表する芸術家ミケランジェロのダビデ像を模して制作。左官会社「若槻工業」(広島市)の名誉会長、若槻さんが購入して「故郷に恩返しを」と、2012年4月にビーナス像とともに町に寄贈した。ダビデ像が三成運動公園、ビーナス像はみなり遊園地で展示された。

 しかし、ダビデ像を巡っては間もなく、一部の町民から「下着をはかせて」「目のやり場に困る」などの声が上がり、町議会でも「教育上ふさわしくない」と町議が訴えた。「一流の芸術で感性を養うことができる」と歓迎した当時の町長は、「周囲の景観と合っている。移設は考えていない」と強調するなど大きな論争に。フランスのAFP通信も配信し、国内外から反応が寄せられた。

 町の景観にも溶け込んだ頃、ダビデ像は再び、悲劇に見舞われた。

 18年4月の島根県西部地震で、像は地面に打ち付けられて約200もの破片となった。町は砕けたダビデ像の処分を検討。無事だったビーナス像も、倒壊を懸念して撤去が決まり、2体とも若槻さんの元へと戻った。

修復されたダビデ像。手前の胴体部分は横たえた状態で展示している(広島県呉市で)
修復されたダビデ像。手前の胴体部分は横たえた状態で展示している(広島県呉市で)

 「地震直後の2、3日は寝られなかった」ほど心を痛めた若槻さんは、自費で岐阜県の石工業者に修復を依頼。損傷が激しいために心棒で強度を補いながら、約1年かけて頭と胴体、脚などの部分ごとに直した。

 修復した像の精巧さを実感してもらおうと、若槻さんは昨年3月、自ら所有する呉市内の敷地に「ダビデの館」を設置し、披露会を計画。コロナ禍で会は中止となったが、館内には奇跡的に傷がなく美しい状態を保った頭部や、涅槃ねはん仏をヒントに横たわった状態で展示された胴体などが並んでいる。

 若槻さんは「満身創痍そういになりながら生き返ったダビデに勇気づけられる」と話す。

 論争が起きた際、「本物に触れて五感で感じることが必要」「海外から鑑賞ツアー誘致を」とエールを送ってくれたのは世界中の人たち。今度は国境を越えた恩返しを検討中だ。

 ダビデ像やビーナス像は見学可能。問い合わせは、平日の日中に若槻工業(082・281・6597)へ。

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2092506 0 社会 2021/06/01 14:49:00 2021/06/01 14:49:00 2021/06/01 14:49:00 修復されたダビデ像。胴体部分は横たえた状態で展示している(広島県呉市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210601-OYT1I50075-T.jpg?type=thumbnail

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