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菓子万引きで7度逮捕、「食べ吐き」も…治療続ける元マラソン女王「必ず立ち直る」

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ランニング前にストレッチをする原さん。「昔と違って、気持ちいいところで終わらせる。だから、走るのが余計に楽しい」(5月15日、千葉市内で)=菅野靖撮影
ランニング前にストレッチをする原さん。「昔と違って、気持ちいいところで終わらせる。だから、走るのが余計に楽しい」(5月15日、千葉市内で)=菅野靖撮影

 「ちょっとあなた」

 2018年2月9日午後9時過ぎ。群馬県太田市のスーパーで、元マラソン日本代表の原裕美子さん(39)=当時36歳=は女性警備員に呼び止められて我に返った。ジャンパーの中に隠し持っていたのは、キャンディー1袋とクッキー2袋の計3点、総額382円。 

 万引きでの逮捕は、これが7度目だった。「また、家族に迷惑をかけてしまう。死んでわびたい」。留置場では泣きながら両手で首を絞めた。舌もかみ切ろうとした。でも、死ぬことはできなかった。

 「現役時代はケガに苦しめられたのに、なぜこんな時に丈夫なんだ」

 過去の栄光と、それと引き換えに蝕まれていった心と体。何もかもうまくいかない人生に、原さんはぼうぜんと立ちすくんでいた。

なぜか仲間外れでも大会優勝で認められた喜び

 幼い頃から、走るのは得意だった。原裕美子さんは、小学6年の時、地元中学の陸上部指導者の目に留まり、中学生に交じって練習を積んだ。実はこの頃、さしたる理由が思い当たらないまま、学校では仲間はずれにされていた。

  憂鬱ゆううつ な日々を振り払うように走り込んだ。すると、校内マラソンではダントツの優勝。「原さん、すごい」。周囲の目が変わった。

 「もっと褒められたい。もっと速く走りたい」。中高とも陸上にのめり込み、高校卒業後は、実業団チームの「京セラ」に入部した。毎朝5時に起床し、13キロのジョギングをこなす。日中は午後2時頃まで工場で働き、その後は午後6時まで走り続けた。

 練習の苦しさは、中高時代の比ではなかった。だが、負荷をかけられた自分は、確実に強くなっていた。

北海道マラソンで1位でゴールし、人さし指を突き上げる原さん(2010年8月29日、札幌市で)
北海道マラソンで1位でゴールし、人さし指を突き上げる原さん(2010年8月29日、札幌市で)

 初のマラソンレースとなる2005年3月の名古屋国際女子マラソンで、並み居る強豪を抑えて2時間24分19秒の好記録で優勝。同年8月の世界選手権ヘルシンキ大会では、日本人最高位の6位に入った。

 「これまで目立った活躍のなかった自分が、世界の舞台で走れるなんて」。喜びをかみしめた。

 07年の大阪国際女子マラソンも制し、日本のトップランナーとして、「原裕美子」の名は知れ渡った。

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2120717 0 社会 2021/06/13 05:00:00 2021/06/15 17:59:29 2021/06/15 17:59:29 「あれから」用・ランニング前にストレッチをするマラソン元日本代表選手の原裕美子さん(5月15日、千葉市内の公園で)=菅野靖撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210612-OYT1I50127-T.jpg?type=thumbnail

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