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日本人が投稿するようになった「やらせレビュー」…[虚実のはざま]第3部 粉飾のカラクリ<4>

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数千人グループ

 「やっていることはモラルとしてはアウト。でも収入の足しになる」

 東日本に住む20代の男性会社員が告白する。通販サイト「アマゾン」で購入者が商品を評価するレビュー欄に、ウソを書き始めて半年になる。

商品のレビューを募集するツイッターの投稿。「アマゾン」などを意味する中国語が交じっている=画像は一部修整しています
商品のレビューを募集するツイッターの投稿。「アマゾン」などを意味する中国語が交じっている=画像は一部修整しています

 きっかけは、SNSで「レビュー募集」という投稿を見たことだった。ネットで調べると、応募した人の体験が多数見つかった。手口はこうだ。

 相手に連絡し、指定された商品をアマゾンで購入する。5段階で最高の評価の「星五つ」を付けると、商品の代金分が送金され、内容によっては1000円程度の報酬がプラスされる。商品はすぐフリマアプリなどで転売する――。

 これまで男性が買ったのは、空気清浄機や小型冷蔵庫、脱毛機器など約50点。使わずに「安定感がある」などと書き込んだ。「罪悪感がないわけではないが、合計で6万円ほどのもうけになった」と言う。

 <☆5評価と動画付き 1500円><コメント成功 全額返金>

 ツイッターやフェイスブック(FB)には同じような勧誘が大量に投稿されている。読売新聞が調べた結果、FBでは、依頼者と「書き手」が連絡を取る数百人から数千人のグループが、70以上確認された。

商品の「宣伝費」

 勧誘の文言には、不自然な日本語の表現が目立った。レビュー募集の対象になっていた様々な商品を調べると、多くは中国製で、出品業者の所在地は中国の深センだった。

 SNSで募集していた男性の一人が読売新聞の電話取材に対し、現地業者の中国人従業員だと認めた。

 「星が多くないと売れない。今まで金を払って5000件ほど書いてもらった。評価をつり上げている業者はいくらでもある」

 香港と隣接する深センには、電子機器の工場が集まっている。製品をアマゾンに出品し、日本向けに販売する会社も多数ある。

 この業者には、男性も含めて日本語が分かるスタッフはいない。やらせを請け負う日本人とのメッセージのやり取りには、ネットの機械翻訳機能を使っている。

 男性は「日本人に支払う金は、宣伝費のようなものだ」と話す。出品直後は、赤字になるが、数か月後には高評価の効果が出て黒字になるという。

手口変化

 アマゾンは運用指針で、対価をもらって投稿する行為を禁止している。「機械学習を使ったシステムで世界中の投稿を監視している」としており、削除や利用停止の対象となる。

 関係者によると、以前は不正の疑いがある日本語のレビューは、中国国内から書き込まれていた。

 各商品には、最高5の総合評価が表示されている。これは、多数のレビューの星の数やコメントなどから、同社が算出しているとされ、不自然な日本語でも、「星五つ」を大量に投稿すれば、評価をつり上げることも可能だった。

 手口が変化したのは1、2年前だ。海外からの不審な投稿が一部制限されるようになり、日本人募集に移行しているという。

 しかし、商品の欠陥などが覆い隠されるリスクもある。同じ種類の商品では、評価が高いものが上位に表示されやすいためだ。

 愛知県の男性(19)は最近、深センの業者が出品していたスマホフィルムを購入した。評価が「4・4」だったのが理由だった。しかし、貼り付けた後にすぐにはがれてしまった。「完全にだまされた。人を惑わすようなことはやめてほしい」と憤る。

 消費者庁は昨年3月、約3000人に実施した調査で、こんな質問をした。

 あなたはモノを買う時、レビューを信じていますか――。「信用している」と答えた人は75%だった。

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2129981 0 社会 2021/06/17 05:00:00 2021/06/17 15:02:33 2021/06/17 15:02:33 商品のレビューを募集するツイッターの投稿。「アマゾン」などを意味する中国語が交じっている=画像は一部修整しています https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210617-OYT1I50008-T.jpg?type=thumbnail

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