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新型コロナウイルスの後遺症が感染時に軽症だった人たちにも表れている。療養後、強い

昨年12月に感染した京都市の理学療法士の女性(26)は、ひどい倦怠感に悩まされ、半年近く休職を余儀なくされている。「手のしびれも残っている」。今は福岡県糸島市の実家に戻ったが、2階の自室へ上がる階段がつらく、ほぼ終日、リビングで過ごす。
女性は感染時、2日間の高熱と嗅覚障害が出たが軽症だった。自宅療養となり、半月ほどで仕事に復帰。感染前と同様に高齢者宅への訪問リハビリをこなした。
異変が出たのは1週間後。強い倦怠感で利用者の体を支えられなくなり、仕事を休みがちになった。一人暮らしで家事ができず、2月から休職して糸島市の実家へ。その後、着替えなどの日常動作すら困難になった。食は細り、体重は1か月で4キロ落ちた。
3月、コロナ後遺症外来を開いている福岡市の「みらいクリニック」を受診。鼻の奥に感染の影響と思われるひどい炎症が見つかり、塗り薬などで治療した。少しずつ改善しているが、「感染前の元気な状態とは程遠い。好きな仕事だが退職も考えている」と話す。
同院は2月に後遺症外来を設置。これまでに10~40歳代を中心に約50人が来院している。感染時は軽症・無症状者だった人が7割で、全体の8割に倦怠感、4割に嗅覚障害や鼻づまりがあった。集中力低下や脱毛、関節痛なども見られた。今井一彰院長(50)は「症状や程度に個人差があるが、回復まで数か月以上かかるケースが多い」と説明する。
登校できず孤立感…「ずる休み」の誤解も
国立国際医療研究センター(東京)によると、回復後に表れる後遺症は「ウイルス後疲労症候群」と呼ばれ、確立した治療法は見つかっていない。「第4波」では変異ウイルスの影響で感染が拡大した若い世代も、症状に苦しんでいる。
福岡市の高校1年の女子生徒(15)は、5月初旬に感染が判明。その時は発熱もなかった。ホテルで療養し自宅に戻ってから頭痛や倦怠感がひどくなり、現在まで登校できないまま。級友が「ずる休みをしてる」と書き込んだSNSも見つけ、落ち込んだ。
学校からは「これ以上休むと内申に響く」と登校を促されている。保健所に相談したが具体的な支援はなく、最近やっと後遺症外来にたどり着いた。「勉強の遅れを取り戻せるのか、クラスになじめるのかと悩み、気分が沈む日々が続いている」と女子生徒は漏らす。