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受刑者高齢化、「リハビリ」も刑務作業…「塀の中」は福祉施設

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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「刑務作業」。

 「塀の中」と呼ばれることもある刑務所。そこで多くの受刑者が携わっているのが刑務作業だ。作業服姿で整然と並び、黙々と働いているイメージがあるが、高齢化社会の到来により、様相が変わりつつある。

ノートから神輿まで 様々な製品作る

 木材を電動のこぎりで切断したり、ノミで彫ったり。刑務所内の作業場で、きらびやかな 神輿みこし の製作が進む。一人の受刑者が「指導願います」と手を挙げると、高倉健さん演じる技官が近寄り、「ここをもうちょっとうまく削ればいいんじゃないか」とアドバイスした。

 高倉さんの遺作となった映画「あなたへ」(2012年)の冒頭には、こんな場面がある。法務省が撮影に協力し、実際の刑務作業にかなり近い描写だという。

 刑法は懲役刑について、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」と定め、これが刑務作業にあたる。作業は1日約6~7時間。1時間につき7~55円程度とはいえ、「作業報奨金」も支払われる。

 昨年末時点では、全国75の刑事施設で約3万7000人が従事している。作業場に数十人が集まって行うのが一般的だが、こうした「生産作業」だけでなく、資格を取得する「職業訓練」や、通学路の除雪といった「社会貢献作業」もある。

 せっけんやノートといった日用品から映画にも出てくる神輿まで、作られる製品は様々だ。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年には医療用ガウンや布製マスクも作り始め、自治体や医療機関に納められている。

65歳以上の受刑者 20年で2・5倍に

 だが、4日に取材した長野刑務所(長野県須坂市)には、イメージとは異なる光景が広がっていた。

 手押し車を使った高齢受刑者がとぼとぼと作業場へ向かう。移動もままならない受刑者は居室で紙を細かくちぎる作業を繰り返す――。高齢者の着替えやおむつ交換を介助する若い受刑者もおり、今ではそうした行為も刑務作業に位置付けられているという。ある刑務官は「リハビリに近い作業しかできない受刑者も多い。刑務所は今や塀に囲まれた福祉施設だ」と話す。

 背景にあるのが、刑務所にも押し寄せる高齢化の波だ。犯罪白書によると、2019年の65歳以上の受刑者は2252人で、00年の2.5倍。特に70歳以上が急増し、4.8倍になった。

 こうした状況に対応するため、法務省が検討しているのが、懲役刑と禁錮刑を一元化し、刑務作業や再犯防止の指導などを柔軟に行えるようにする「新自由刑(仮称)」の創設だ。

 現在の禁錮刑は刑務作業が義務づけられていないが、実際には約8割が自ら希望して作業をしており、実態は懲役刑とあまり差がない。同省は、一元化の実現で受刑者の特性に合わせた対応がしやすくなるとみており、幹部の一人は「作業が困難な高齢者は体力向上に専念させるなど、出所後の生活を見据えた処遇が可能だ」と意義を強調する。

「手に職」鬼平発案

 時代とともに変わる刑務作業の役割。その原点は江戸時代にさかのぼる。

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