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神奈川県警のメール配信「古い情報で役に立たない」…殺人容疑者逃走は半日後に届く

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鎌倉市の殺人事件は未明の発生だったが、安全メールの配信は夕方だった
鎌倉市の殺人事件は未明の発生だったが、安全メールの配信は夕方だった

 事件や不審者の情報をメールで知らせる神奈川県警の「ピーガルくん子ども安全メール」の配信が発生から大幅に遅れることが目立ち、「あまり参考にならない」との声が県民から上がっている。メールを見て外出を控えたり、子供に注意を促したりしてもらうのが配信の狙いだが、路上での殺人事件発生の通知が半日後だったケースも。警察署によって配信数にも大きな差がある。(荒木香苗)

「役に立たない」

 県警によると、安全メールの県内登録者は3月末現在で延べ10万162人(学校関係を除く)。40歳代が4万6127人と最も多く、子育て世代の関心が高い。

 読売新聞の請求で開示された資料によると、安全メールは▽不審者の出没や痴漢▽暴行や脅迫事件▽殺人や強盗といった凶悪事件などが起きた際、原則平日午前8時半~午後5時15分に送ると定められている。マニュアルには「重要凶悪事件等の特別な情報は時間外にも配信できる」とある。注意喚起して県民に身を守ってもらうため、県警は「できるだけ早く配信する」としている。

 しかし、3月上旬に横浜市戸塚区で起きた路上強盗事件では、配信登録した県民にメールが届いたのは9時間半後。3月下旬に鎌倉市の路上で発生した殺人事件では、容疑者が逃走していたにもかかわらず、配信は約12時間後だった。

 不審者や痴漢の情報が週末を挟んで数日遅れるケースも少なくない。小学校教諭で10歳代の姉妹の母親でもある横浜市の女性(45)は「子供に気をつけてと伝えたくても、古い情報では役に立たない」と訴える。周囲の安全メールの認知度も低いという。

配信数に偏り

 どんな情報を配信するかは関係部署間で調整されるが、最終判断は各警察署に任されるため、配信数にも偏りがある。

 昨年1年間の配信総数は1110件。警察署別で見ると、最も多かった宮前署(川崎市)の94件に対し、刑法犯事件の認知件数が同水準だった泉署(横浜市)は15件、認知件数が2倍だった高津署(川崎市)は12件だった。1年間で2件しか配信していない警察署もあった。

 安全メールとは別に、SNSで情報発信している県警本部の部署や警察署もあるが、情報が集約されていないため、ツールによって載っていたり載っていなかったりするのも課題だ。

 県央地区のある警察署は、安全メールよりも、ツイッターでの防犯啓発に力を入れている。署幹部は「この地域の住民のみに必要な情報が多く、ツイッターの方が使い勝手がいい」と話す。

 安全メールを統括する県警生活安全部の則次誠二郎部長は「被害者のプライバシー保護に配慮しながら、慎重に情報配信している」と説明したうえで、「タイミングの遅さは改善し、警察署ごとのばらつきもなくなるように指導していく」としている。

埼玉 ツール選択可

 参考になるのが埼玉県警の取り組みだ。熊谷市で2015年、住宅3軒で6人が殺害された事件では、他人の敷地に侵入し、事情聴取を受けていたペルー人の男が熊谷署から脱走したのに、地域住民への注意喚起が遅れたことで犠牲が広がった。これを教訓に、情報発信のあり方を見直してきたという。

 現在はメールやツイッター、Yahoo!防災速報、フェイスブックの4ツールを活用。掲載情報や発信タイミングはすべて同じで、県民は使いやすいものを選ぶことができる。不審者の出没は深夜でも配信され、子供に関するものは登校前の午前6時過ぎに届く。侵入盗なども防犯対策に役立つように、被害状況を詳細に伝えている。

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2136665 0 社会 2021/06/18 18:06:00 2021/06/18 18:13:12 2021/06/18 18:13:12 鎌倉市での殺人事件で配信されたピーガルくん子ども安全メール(午後5時22分)=荒木香苗撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210618-OYT1I50033-T.jpg?type=thumbnail

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