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消え入りそうな声の女性「夫が性行為強要」、医師は夫同意なき中絶手術決断…訴訟リスクも

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 母体保護法は女性の妊娠中絶に「夫の同意」を求めている。これに対し厚生労働省は今年3月、家庭内暴力(DV)の被害女性は同意が不要とする方針を示した。背景には、過酷な負担を強いられる女性に加え、夫による訴訟リスクと隣り合わせで手術に臨む医療現場の強い危機感がある。(山崎成葉)

妊娠中絶手術の際、医療機関への提出が求められる同意書。女性本人と配偶者の署名が必要だ
妊娠中絶手術の際、医療機関への提出が求められる同意書。女性本人と配偶者の署名が必要だ

 「夫から性行為を強要されました」

 約5年前、関西地方の総合病院を訪れた30歳代の女性は、消え入りそうな声で産婦人科医に話した。

 女性は中部地方在住で、妊娠10週目。地元の病院で中絶手術を断られていた。法が定める手術への夫の同意がなかったのが理由だ。

 夫とは、約10年前に恋愛結婚したが、間もなく家事のことで激しくなじられるようになり、性行為も強いられた。長年、言葉や性的なDVを受け、望まない妊娠をした。

 宿った命を絶つことへの苦しみはあった。それ以上に生まれてくる子を愛せない自分への恐怖が勝った。

 「同意を得るため、もう1回だけ旦那さんに会えますか」。産婦人科医が尋ねると、女性は顔をこわばらせた。「もう、できません」。夫との接触を求めれば、女性は自殺しかねない。そう判断した病院は、夫のDVを詳細に記したカルテを作成し、手術に踏み切った。

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2139445 0 社会 2021/06/20 05:00:00 2021/06/20 12:56:32 2021/06/20 12:56:32 妊娠中絶手術の際、医療機関への提出が求められる同意書。女性本人と配偶者の署名が必要だ https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210619-OYT1I50132-T.jpg?type=thumbnail

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