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【独自】軍用ドローンに転用可能「高性能モーター」を輸出…都内業者が中国・イエメンに

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 軍用ドローンなどに転用可能な高性能モーターを中国企業に無許可で輸出しようとしたとして、警視庁公安部は、東京都大田区の精密機械メーカー「利根川精工」と男性社長(90)を外為法違反(無許可輸出未遂)容疑で近く書類送検する方針を固めた。モーターは実際に中国や内戦が続く中東イエメンに輸出されており、公安部が実態を調べる。

外為法違反容疑で書類送検へ

 捜査関係者によると、利根川精工は昨年6月、経済産業省の許可を得ず、軍事転用可能なモーター150個(計約500万円相当)を中国の企業に輸出しようとした疑いがある。東京税関の検査で発覚した。

 モーターは電子信号を受信してドローンなどの動きを制御する仕組みで、優れた防水・防じん性能も備える。中国では農薬散布用の無人ヘリコプターに搭載される予定だったという。

UAEで押収されたモーター(国連専門家パネルの報告書から)
UAEで押収されたモーター(国連専門家パネルの報告書から)

 一方、国連の専門家パネルが昨年1月に公表した報告書によると、利根川精工は2018年11月、イエメンの企業にモーター60個を輸出したが、経由地のアラブ首長国連邦(UAE)で押収された。

 同じモーターは16年にアフガニスタンで墜落したイランの無人機の残骸からも見つかっていた。専門家パネルは、モーターがイランと関係の深いイエメンの反政府武装勢力「フーシ」の支配地域に出荷され、爆発物を積む軍用ドローンや、軍用ボートに使われる予定だったと分析した。

 

 外為法は、大量破壊兵器などに転用される恐れが強い物資を列記して輸出規制する「リスト規制」を行っているが、同社のモーターは対象外だった。そこで、経産省は昨年4月、リストに記載されていなくても幅広い規制が可能となる「キャッチオール規制」の対象にモーターを追加し、特定の国や企業などに輸出する場合に同省の許可を得ることを義務づけた。

 利根川精工が輸出を図った中国企業は取引先が中国軍と関係が深いとされ、規制対象に含まれていた。このため警視庁公安部が昨年12月に同法違反容疑で同社を捜索し、捜査を進めていた。

 イエメンでは15年以降、サウジアラビアが支援する暫定政権軍とフーシによる内戦が泥沼化。死者が20万人を超えるなど人道被害が深刻化しており、専門家パネルはモーターの輸出について、「紛争を助長している」と非難している。

 利根川精工は1962年創業で、従業員数人の有限会社。男性社長は取材に「イエメンに何度か輸出したが、農業用と聞いていた。経産省の規制は把握していたが、中国のどの企業がダメなのか、よく確認していなかった」と話した。

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2183399 0 社会 2021/07/06 15:00:00 2021/07/06 19:44:24 2021/07/06 19:44:24 国連の専門家パネルが公表した押収されたサーボモーター。利根川精工の名前が明記されている https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYT1I50080-T.jpg?type=thumbnail

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