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コロナ支援 給付金 別に800万入金…経産官僚2人 設立の2法人

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 国のコロナ対策給付金をだまし取ったとして、経済産業省のキャリア官僚2人が詐欺容疑で逮捕された事件で、2人が設立した2法人の口座に、ほかにも給付金計約800万円が振り込まれていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は詐欺容疑の適用を視野に、法人の運営実態を調べている。

550万詐欺で起訴

 先月逮捕されたのは、経産省職員の桜井真(28)(東京都千代田区)、新井雄太郎(28)(文京区)両容疑者。互いの名前から1文字ずつ取って名づけたとみられる投資会社「新桜商事」がコロナ禍で売り上げを減らしたと偽り、中小企業庁の家賃支援給付金約550万円をだまし取った疑い。

 捜査関係者によると、2人は容疑を大筋で認めている。その後の捜査で、新桜商事の口座に昨年夏頃、個人事業主らを支援する持続化給付金200万円が振り込まれていたことが判明。同社は新井容疑者宅に本店を置くペーパーカンパニーで、警視庁は不正受給の疑いがあるとみている。

 新桜商事と同じ2019年11月設立のコンサルティング会社の口座にも今年初め頃、家賃支援給付金約600万円が入金されていた。本店は桜井容疑者宅で、代表取締役は当初、新井容疑者だったが、現在は高校の同級生の男性が就いている。男性は取材に「桜井容疑者から頼まれて代表になっただけだ」と話した。同社には給付金以外にも出入金があり、警視庁が金の名目などを調べている。

 東京地検は16日、家賃支援給付金約550万円を詐取したとする詐欺罪で2人を東京地裁に起訴した。

桜井容疑者の自宅マンション。コンサルティング会社の本店が置かれていた(東京都千代田区で)
桜井容疑者の自宅マンション。コンサルティング会社の本店が置かれていた(東京都千代田区で)

桜井容疑者 家賃50万超 新井容疑者 黙々と仕事

 将来を嘱望された若手キャリアに何があったのか。

 桜井容疑者は慶応大からみずほ銀行を経て2018年に経済産業省に入省。企業の資金繰りを支える産業資金課で係長を務め、元上司は「頭がよく切れ、社会人経験からくる安定感もあった」と振り返る。

 昼には職場でコンビニ弁当を食べていたというが、家賃が月50万円を超えるタワーマンションで一人暮らしをし、複数の高級外車を所有。周囲に「学生時代にFX取引(外国為替証拠金取引)でもうけた」「(港区の)白金のマンションを買った」と話し、先輩職員のタクシー代を出すなど羽振りがよかった。経産省の給与については「安い」とこぼしていたという。

 一方、神奈川県内の有名私立高校で桜井容疑者と同級生だった新井容疑者は、東大を出て経産省に入った後、司法試験にも合格。法律の知識を生かし、企業統治の政策作りに関わっていた。真面目に黙々と働くタイプで、自宅は学生時代から住む家賃10万円ほどのワンルーム。知人男性によると、桜井容疑者について「数少ない友人の一人」と語っていたが、逮捕前には「付き合う相手を間違えた」と悔やんでいたという。

 起訴事実となった家賃支援給付金の申請手続きは新井容疑者が行ったが、受給した約550万円の大半は桜井容疑者が高級腕時計の購入費に充てていた。捜査関係者は「2人の間に何らかの上下関係があったかもしれない」と話す。

 経産省は、起業を目指す若者など多様な人材が集まることで知られ、OBには村上ファンドを率いた元通産官僚の村上世彰氏らがいる。事件について、霞が関では「ユニークな人材を集めるのはいいが、省内のガバナンス(統治)が徹底されていなかったのではないか」(厚生労働省幹部)との声も聞かれる。

 加えて霞が関では近年、過酷な長時間勤務などが問題となり、キャリア官僚の志望者数が右肩下がりとなっている。人事院によると、21年度春の試験の申込者数は1万4310人で、現行試験が始まった12年度(2万3881人)以降で最も少なかった。

 同志社大の太田肇教授(組織論)は「若手官僚の質の低下が事件の背景にあるのかもしれない。若手職員の裁量を大きくするなど、誇りと使命感を持って仕事ができる環境づくりを進め、不祥事を防いでいく必要がある」と話している。

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2213798 1 社会 2021/07/17 05:00:00 2021/07/17 05:00:00 2021/07/17 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210717-OYT1I50025-T.jpg?type=thumbnail

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