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名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で3月、収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した問題で、出入国在留管理庁が、同局の医療体制や情報共有などに問題があったとする内容の最終報告書をまとめる方針であることがわかった。同庁は、報告書作成に向けて詰めの作業を進めており、近く公表する。

ウィシュマさんは日本語を学ぶため2017年6月に来日したが、日本語学校の除籍後に不法残留となり、昨年8月に同局に収容された。今年1月中旬から体調不良を訴えた末に死亡しており、上川法相は同庁に対し、第三者の有識者を交えた調査で経緯を明らかにするよう指示していた。
調査の結果、同局では非常勤の内科医を週2回各2時間しか確保できていなかったことに加え、容体が悪化して死亡した日は休日で、医療従事者が不在となるなど十分な体制が整っていなかったことがわかった。ウィシュマさんは点滴の実施や外部の医療機関での受診を求めていたが、同局の幹部には報告されておらず、組織的な対応につながっていなかった。一方、司法解剖の結果などを踏まえても、死因の特定には至らなかったという。
また、ウィシュマさんは収容後、同居していたスリランカ人男性から暴力を受けたと訴えていた。同庁では、こうした家庭内暴力(DV)の被害者として認知した場合には、収容者らから事情を聞くことなどを内規で定めているにもかかわらず、同局が実施していなかったことも判明した。
最終報告書ではこれらを問題点として挙げた上で、常勤医を確保するなどして医療体制を抜本的に強化するほか、収容者の健康状態について幹部らとの情報共有を徹底することなどを再発防止策として盛り込む見通し。
ウィシュマ・サンダマリさん(遺族提供)