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静岡県内でトラクターなどの農業用機械が盗まれる被害が急増している。昨年は1件も被害が確認されていないが、今年は16日時点で10件(速報値)に上っている。高額な機械であるにもかかわらず、屋外に置かれていることが多く、売却目的で盗まれているとみられる。北関東や埼玉県などでも農業用機械を狙った盗難事件が相次いでおり、県警が警戒を強めている。
県警によると、盗難被害は今年5月以降、いずれも県西部で確認された。袋井市では、今月9~15日の1週間でトラクターや農薬散布機が盗まれる被害が3件続いたほか、浜松市南区でも今月上旬、畑に止めていたトラクターが盗まれたという。
県西部の農業関係者によると、主に狙われているのは、国内で人気が高い大手メーカーの中型トラクターだ。中古でも1台250万~350万円の高値で取引されているといい、この関係者は「盗まれたものと似たトラクターがインターネットオークションで売られているのを見たという被害者もいる」と打ち明ける。
農業用機械は比較的高価な製品にもかかわらず、畑などに置いたままにしているケースも多く、盗難被害に遭いやすい側面もある。
機械自体の重量や、運び出すための車両などが必要となることから、県警も「売却目的の組織的な犯行」とみている。
こうした農業用機械の盗難被害は今年に入り、北関東など全国各地で多発している。
埼玉県警は今年3月、資材置き場からトラクターを盗んだとして、男2人を窃盗容疑で逮捕し、倉庫などからトラクター10台を押収した。群馬県警でも今月上旬、逮捕例があり、容疑者は売却目的と認めていたという。
一方、県内で被害が相次いでいることを受け、対策を強化する動きも出ている。
JA三島函南(三島市)は、農産物を含む盗難被害を防ぐため、農業用自動車にドライブレコーダーを取り付ける費用を助成する取り組みを始めた。担当の奥村彩恵さん(23)は「盗難は農業者にとって大きな打撃になり、憤りも大きい。ドライブレコーダーの設置で被害の抑制につなげたい」と話している。
また、被害が多発している袋井市は、市のメール配信サービスを活用し、「使用後は農機具庫まで移動してほしい」と呼びかけているほか、県警も「必ずキーを抜き、物理的に車両を動かせないようにして保管してもらいたい」などとしている。