難民の「個性」生かして就労支援…「企業にとってプラスの人材」

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渡部カンコロンゴ清花さん「WELgee」代表理事

 難民の若者を「気の毒だから援助する」のでなく、「能力や情熱にあふれた人材」と考え、就労支援に取り組むNPO法人「WELgee(ウェルジー)」(東京都渋谷区)。代表の渡部カンコロンゴ清花さん(30)は「難民(refugee)も歓迎(welcome)できる社会にしたい。多様な人が生きやすい日本になるはず」と、未来を見据える。(編集委員 増満浩志)

漁で使った縄がジャケットに変身…「地域アピールの機会にも」
写真はいずれも宮崎真撮影
写真はいずれも宮崎真撮影

    わたなべ・かんころんご・さやか  1991年、静岡県生まれ。静岡文化芸術大に在学中、バングラデシュで民間活動団体(NGO)や国連の活動を経験。東大の修士課程を昨年春に修了

医師や薬剤師、事業家だった人も

 難民の雇用を企業に持ちかけると、社会貢献の担当部署に回されそうになり、「いや、御社の役に立つ有能な外国人材を紹介したいのです」と説明し直すこともあるという。

 祖国で医師や薬剤師、事業家だった人もいれば、ITや語学の能力が豊かな人もいる。迫害や戦火を「仕方ない」と諦めてしまわず、希望を持って出てきた人たち。「逆境を越えてきた経験と胆力のある人を、同僚として迎えませんか」と、企業に提案する。

IT企業など4年間で14人採用

 「日本人はふだん難民との接触が少ないでしょう。会って初めて、一人一人の個性や魅力に気付いたりするんです」。この4年間に、約250社が提案を聞いてくれた。そして、大手機械メーカーやIT企業の正社員や契約社員などとして、14人が採用された。

 「社内で『空気』を読めなくて、ぶつかることもあると思います。それを一緒に乗り越える経験や、日本人と異なる彼らの発想が、特に新事業や海外展開を手がける企業にとってプラスになる。採用された人だけでなく、採用した側に喜んでもらうのが大事」。採用後もきめ細かく相談に乗り、定着を支援している。

「国家が守らない人」が語る夢

 学生時代に訪れたバングラデシュで、先住民族が弾圧され、故郷を追われる姿に衝撃を受けた。「国家が守らない人」への対応について大学院で学ぶため、2016年2月に上京すると、意外にもその人たちが「難民」として渋谷や新宿にいた。

 でも、「ただ逃げてきた人」ではなかった。「いつか祖国の教育をよくしたい」「大統領になって国を変える」などと熱く語る若者たち。その夢や希望を共に実現したいと思い、WELgeeを設立した。

大事なのは「仕事」と確信

 様々な形の活動を模索する中で、「やはり大事なのは『仕事』だ」と次第に確信していく。胸を突いたのは、パレスチナから来た看護師の言葉だった。工場で野菜を洗うアルバイトなどをして食いつなぐ彼は「人を救う仕事が生きがいだった。日本では爆弾は降らないけど、生きた心地がしない」と、疲れ切っていた。難民申請者の多くが、認定されずに長期間、不安定な状況に置かれている。

 17年に就労支援の活動を始め、18年にNPO法人化。職業紹介事業の許可を取り、活動の柱に据えた。採用にこぎつけた14人のうち3人は、安定した在留資格を得ることにも成功している。

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