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福岡県で市民が襲撃された4事件を指揮命令したとして、殺人罪や組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などに問われた特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)トップで総裁の野村悟(74)、ナンバー2で会長の田上不美夫(65)両被告の判決が24日、福岡地裁であった。足立勉裁判長は野村被告を「4事件の首謀者」と認定。「一般市民を襲撃した犯行動機や経緯にくむべき余地は皆無だ」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。

田上被告は無期懲役(求刑・無期懲役と罰金2000万円)とした。両被告側は公判で無罪を主張しており、控訴する方針。
判決によると、野村、田上両被告は、▽元漁協組合長射殺(1998年2月、北九州市)▽暴力団捜査を長年担当した福岡県警の元警部銃撃(2012年4月、同市)▽野村被告の施術を担当した女性看護師刺傷(13年1月、福岡市)▽元漁協組合長の孫の男性歯科医師刺傷(14年5月、北九州市)――の4事件を組員に指示し、実行させた。
判決は、工藤会が上意下達の厳格な組織で、最上位の野村被告が最終的に重要な意思決定をしていたと指摘。「野村被告らの承諾なしに、無断で組員が重大事件を起こすことはありえない」と述べ、いずれの事件も野村被告には動機となり得る事情があると判断した。
元漁協組合長射殺事件については、野村被告と田上被告には漁協が絡む利権に重大な関心があったと指摘。他の3事件も実行役は被害者と面識がなく、野村被告の指揮命令による組織的犯行だとした。
その上で、両被告の量刑を判断。4事件での死者は1人だが、判決は野村被告について、「人命軽視の姿勢が著しく、刑責は極めて重い。体感治安の悪化など甚大な社会的影響も生じており、極刑を回避すべき事情は見いだせない」とした。
田上被告には「野村被告と相通じるなどして意思決定に関与し、野村被告に次いで責任が重い」と指摘。「無期懲役を下回ることはない」と結論づけた。