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売り上げ「ほぼゼロ」から30倍に、手作り線香店「えらいことになったわ」

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 コロナ禍で大口取引がなくなり、一時は廃業寸前まで追い込まれた島根県 安来やすぎ 市の老舗手作り線香店が、ネット上で話題を呼んでいる。あるSNSへの投稿をきっかけとして、8月の売り上げは一気に7月の約30倍に。4代目店主の内田貴子さん(76)は反響の大きさに「えらいことになったわ」と驚きを隠せない。

練り合わせた原料を圧縮して板に付ける「生付け」作業(島根県安来市で)
練り合わせた原料を圧縮して板に付ける「生付け」作業(島根県安来市で)

 同市広瀬町で創業100年を超える「内田線香店」。全国でも数少ない手作りの線香店は、母娘3人で製造から販売まで全ての工程を切り盛りしている。

箱詰め作業を行う内田さん(右)と長女・聖子さん
箱詰め作業を行う内田さん(右)と長女・聖子さん

 島根県ふるさと伝統工芸品にもなっている「杉葉線香」は香料を使わず、火の付きが良く、折れにくいのが特徴。原料とする杉の葉の粉は福岡から取り寄せ、数時間かけて水やつなぎののり粉と練り合わせる。

 線香作りは、気温や湿度の影響を受けやすく、カビや曲がりが生じて商品にならないことも少なくなく、繊細な作業だ。長年培った経験と職人技で作られる線香は、4代にわたり、地元住民らに愛されてきた。

 だが、昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大で一変。取引をしている寺院の参拝者数の減少などが影響し、売り上げは一時ほぼゼロになり、注文の電話は鳴らなくなった。創業以来最大の危機に、内田さんは「もうダメだ。線香のように消えなきゃ」。続く「じり貧」に覚悟を決めていた。

 ところが、8月初旬。事情を聞いた地元ケーブルテレビ・やすぎどじょっこテレビの関係者が、「何とかせんといけん」と思い、簡易投稿サイト「ツイッター」に線香の写真を添えて投稿。書き込みは瞬く間に拡散され、「応援したい」「新盆の父に買いたい」といったコメントとともに、20日時点で8万件を超える「いいね」が付いた。

 近隣が主だった注文も、遠く秋田や神奈川から大阪、徳島まで全国各地に広がった。想像もしなかったSNSからの反応に、内田さんは「こんなに線香に関心がある人がいるなんて。でも、花火のように(注文が)一瞬で終わらないだろうか」と少し戸惑ったという。

 ただ、人と人の「縁」を結ぶ線香。穏やかな気持ちで向き合えるよう、線香作りに臨む時の約束は「けんかをしないこと」という。内田さんは「注文が増えても、買ってくださる方々に良い巡り合わせがくるよう、丁寧に向き合っていきたい」と静かに喜んでいる。

 「杉葉線香」は1箱(長さ約13センチ、200グラム)で税込み825円。購入は島根県物産観光館のオンラインストア(https://www.shimane-bussan.or.jp/)へ。

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使い方
2355815 0 社会 2021/09/10 10:36:00 2021/09/10 11:29:23 2021/09/10 11:29:23 練り合わせた原料を圧縮して板に付ける「生付け」作業(安来市の内田線香店で)=玉田響子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210909-OYT1I50115-T.jpg?type=thumbnail

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