三本脚のミケちゃん、治療院の「看板猫」に…懸命に生きる姿から「元気もらえる」

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 千葉県市川市の 鍼灸はりきゅう マッサージ治療院に、生まれつき後ろの右脚がない猫がいる。推定9歳のメスで、愛称は「ミケちゃん」。かつては公園の野良猫だったが、5年前の春からすみつき、利用客を癒やす看板猫となっている。院長の冨森猛さん(56)は「障害や病気など困難を抱えながら懸命に生きる猫から学べることがある」と話している。(大津杜都)

ミケちゃんと冨森さん(市川市のやすらぎ治療室で)
ミケちゃんと冨森さん(市川市のやすらぎ治療室で)

 「ミャー」――。市川市の「やすらぎ治療室」では、ミケちゃんが柔らかい表情で迎えてくれる。冨森さんは「みんなに元気を与える天使のような存在」と表現する。冨森さんがミケちゃんの写真を投稿するSNSのフォロワー数は3万を超え、猫に会うために来院する人もいる。

 治療院の入り口で三毛猫を見つけたのは、2013年の春。右脚はなく、3本の脚ではねるように歩いていた。冨森さんは、猫の悲しそうな目を忘れられなかった。

 自宅には老猫がおり、連れ帰るわけにはいかない。冨森さんはやがて、猫が姿を現す午前4時に合わせて出勤した。三毛猫を「ミケちゃん」と名付けた。

 16年春の雨風が吹き荒れたある日、治療院裏の階段下で寒そうにうずくまるミケちゃんを見つけた。「助けて」。そう求めているように感じた。「何とかしてあげたい」と治療院内に入れ、一晩を過ごさせた。専用ベッドを用意し、治療院にすむようになった。

 ミケちゃんが仕事の邪魔をしたことは一度もない。爪を立てるいたずらはしない。常連客以外の施術中は気配を消し、便をしたら臭いを広めないようタオルで覆う。

 人懐こい性格で、 愛嬌あいきょう を振りまく。客にすり寄って体をなでてもらい、癒やしを与える。ミケちゃんに会う人はいつの間にかファンになる。4年前から週1回会いに来る来院者(70)は「なでるだけで落ち着く。元気や希望をもらっている」と話す。

 ミケちゃんは昨年8月、体重が減り、甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になる甲状腺機能 亢進こうしん 症を患っていることが判明した。冨森さんがSNSで病気を明かしたところ、500件以上の励ましのコメントや寄付金などが寄せられた。通院や服薬が欠かせない日々でも、愛嬌たっぷりの態度は変わらない。

 今年8月には、ミケちゃんを漫画やコラムで紹介する本「ミケちゃんとやすらぎさん」(KADOKAWA、税込み1320円)を出版した。冨森さんは「ないものを嘆かずに、必死に生きようとする姿に励まされる。猫好きでない人も手にとってみてほしい」と話している。

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