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書店で万引き疑われる人物、顔認識カメラで把握…導入後の被害が半減

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 人の顔が識別できる顔認識カメラの防犯への利用を巡り、民間事業者らの対応が分かれている。公表して活用する事業者がある一方で、プライバシー侵害への懸念から技術提供を中止したメーカーも出ている。JR東日本が刑務所の出所者らを一時、検知対象としていたことで注目が集まっており、ルール整備を求める声も出ている。

被害半減

 「万引き対策 開始のお知らせ」。東京・渋谷にある三つの書店の入り口には、こんなタイトルの文書が掲示されている。万引きなどが疑われる人物を顔認識カメラで把握し、そのデータを3店舗で共有すると記す。

 このシステムは書店運営会社3社などが2019年から共同運用する。カメラが万引きなどを捉えた場合、その人物の顔情報をデータベースに登録。次に来店した際に店側に知らせ、店員らが警戒する。導入後、万引き被害は半分近くに減ったという。

 3社などでつくる「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」によると、有識者による運用検証委員会のチェックを受けているほか、データベース登録者数や警察に引き渡すなどした人数を毎年公表している。運用開始から1年で登録者数は約40人、警察への引き渡しは7人にのぼった。

 阿部信行・事務局長は「顔認識カメラの防犯効果は高いだけに、透明性の確保が大切だ。プライバシー侵害への対策を徹底しながら今後も続ける」と話す。

市場拡大

 国の個人情報保護委員会は防犯カメラについて、目的が明白であることから、使用理由などを明示する必要はないとしている。能力が高い顔認識カメラも現段階で同様の見解であるため、明示されているケースは少ないとみられる。

 顔認識カメラは、ネットワークカメラの映像を人工知能(AI)で解析するものが多い。調査会社テクノ・システム・リサーチによると、こうしたカメラによる画像解析の市場規模は昨年、57億円にのぼった。24年には108億円まで拡大する見通しだという。

 顔認識分野で国内外トップクラスのNECは19年、本人の同意を取らずに顔情報を登録するシステムへの技術提供を取りやめた。「プライバシー侵害の恐れに加え、大衆監視による表現の自由への 萎縮いしゅく が問題視されている」としている。

 現在は、部屋への入退室やパソコンのログインなど利用者の同意がある本人認証サービスに技術を提供している。

 AIに詳しい山本龍彦・慶大教授(憲法学)は「現在は、顔認識技術を公共空間で使うことに対して社会的な合意やルールがない状況だ。どのような手続きを踏めば利用できるかの議論を進める必要がある」と指摘している。

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