息子から母へ「呼吸が上手くできない」とメッセージ、2日後に遺体で発見…[検証コロナ 第5波の教訓]<1>

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東京都杉並区では9月に入り、自宅療養者の健康観察を強化するための「支援ステーション」を設けた(9月12日)=区提供
東京都杉並区では9月に入り、自宅療養者の健康観察を強化するための「支援ステーション」を設けた(9月12日)=区提供

 当時、杉並保健所では自宅療養者の健康観察のための人員を55人から72人に拡充したが、業務は増える一方だった。男性が母親に送ったスマホのメッセージからは、保健所に連絡して「折り返し」を待っていたとみられるが、これまでの区の調査では、男性と通話した記録は見つかっていない。

 田中良区長は「第6波では同じ てつ を踏むわけにいかない。連絡がつかずに亡くなる人が出ないよう、見守りをきめ細かくしていく」と力を込める。

■部屋数倍増

 7月から9月にかけて、都内では新規感染者数が累計で約20万人に上り、ピーク時の自宅療養者は2万6000人に。自宅療養中の死者は50人以上となった。救急搬送先で亡くなった人も含まれるが、自宅での死者は20人を超える。

 ところが、同じ大都市でも大阪府に目を向けると、事情は大きく異なる。新規感染者の累計は約9万6000人、ピーク時の自宅療養者も1万8000人を超えたが、自宅での死者はわずか1人だった。

 この差は、一体どこから生まれたのか。

 「大阪は宿泊療養施設を増やせたのが大きかった」と、藤井睦子・府健康医療部長は振り返る。

 関西地方では、春の第4波で感染力の強い変異ウイルスが首都圏よりも早く広がり、大阪府内でも自宅療養中の死者が19人に上った。事態を重く見た府は病床数を1・3倍に増やし、宿泊療養のためのホテル部屋数も、約4000室から約8400室まで増やした。

 ホテルに常駐する看護師の確保には府看護協会が全面協力した。高橋弘枝会長は「防護服の着脱など丁寧な研修を行い、安心して働ける環境を作って他府県からも優秀な人材を集めることができた」と話す。

 府は「入院以外は原則宿泊療養」の方針を掲げ、多い日で約3500人が宿泊施設を利用。オンライン診療などの活用により、「多くの人を早期に治療でき、重症化する人を減らせた」と府幹部はみる。

 これに対し、都内では、宿泊療養用のホテル部屋数は大阪より少ない約3300室で、1日あたりの利用者は最大で約2200人にとどまった。杉並区では、8月1日時点で宿泊施設に入れたのは、自宅療養中の約700人に対し、わずか54人だった。

 都福祉保健局の幹部は「ワクチン接種もあって看護師の確保が思うように進まず、ホテルの部屋数を増やしたくても増やせなかった」と明かす。

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2423897 0 社会 2021/10/07 05:00:00 2021/10/07 16:39:03 2021/10/07 16:39:03 東京都杉並区の店舗で療養中の長男から母親のスマートフォンに届いたメッセージ。長男はこの2日後、店舗内でなくなっているのが見つかった(9月28日、東京都中野区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211007-OYT1I50012-T.jpg?type=thumbnail

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