「生協の白石さん」旋風、「名回答」がベストセラーに…2005年11月[あれから]<17>

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 「ネットで話題になっているこれ、お前のこと?」

カメルーン代表が村に来たのは、職員の「不純な」発案がきっかけ…日韓W杯から20年

 2005年春、東京農工大学の生協で働いていた白石昌則さん(52)は、友人からのメールを見て驚がくした。添付された画像は間違いなく、自分が書いた「ひとことカード」だ。

流行を受けて出版された「生協の白石さん」(講談社)。108枚の「ひとことカード」が紹介されている
流行を受けて出版された「生協の白石さん」(講談社)。108枚の「ひとことカード」が紹介されている

 生協への要望を紙に書いてもらうこのカード。毎日、回答を手書きし、店内の掲示板に貼り出していた。まさか、学外で噂になっているなんて。同年11月、カードの「名回答」を集めて、ついに本まで出版された。

 〈愛は売っていないのですか?〉

 ――どうやら、愛は非売品のようです。

 真面目なのだけどつい笑ってしまう、機知に富んだ回答の数々。そんな非凡な「生協の白石さん」を、学生たちも、世間も、見逃さなかった。(社会部 田村美穂)

軽妙なやりとり、学生潤す

 後に「生協の白石さん」として大ブレイクする白石昌則さん(52)は、子供の時から、言葉によって人の心をつかむ「コツ」を知っていたふしがある。

日本生活協同組合連合会では営業を担当する白石さん。「これからもずっと、『生協の白石さん』と呼んでいただければ」(6日、大阪市内で)
日本生活協同組合連合会では営業を担当する白石さん。「これからもずっと、『生協の白石さん』と呼んでいただければ」(6日、大阪市内で)

 東京都昭島市で、2人兄弟の長男として生まれた。父は不在がちで、母の崎子さん(78)が新聞配達や飲食店のパートをかけ持ちして育ててくれた。

 家は裕福とはいえない。費用やお迎えの面で、幼稚園や保育園に通うのは難しい。そんな白石さんに、母は小学校に入学する前から読み書きを教え、そして、近所の焼き肉屋から、「客が読み終わった漫画をもらう」という約束を取り付けてくれていた。

 だから白石さんは5歳や6歳の頃から、母の帰りを待ちながら、「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年チャンピオン」、「ビッグコミック」を家で読み込む幼児だった。

 当時、チャンピオンでは手塚治虫の「ブラック・ジャック」や、水島新司の「ドカベン」が連載されていた。漢字には、必ず「読みがな」が振ってあった。

 「医療や高校野球の独特な世界観に触れて、言葉を覚えた。そういう状態で小学校に入ったら、神童扱いでしたよ。まあ、高学年になればみんなジャンプを読み始めるから、アドバンテージはなくなるわけですが」

5歳で少年誌、決めゼリフで教室爆笑

 小学校時代からの友人、江口 あきら さん(51)は、白石さんの大人びた言葉遣いを今でも覚えている。一緒に遊んでいた時、振り回した枝が白石さんの顔に当たると、「 大概たいがい にしろよ!」と怒られた。

 「普通なら、『ふざけるな』や『やめろよ』でしょう。でも、『大概にしろよ』って。え?そこでその言葉出る?と、思わず笑ってしまった」

 ギャグ漫画では、「決めゼリフ」がきっちり決まると笑いが取れる。小学3年の時、先生から私語を注意され、「けじめをつけなさい」と肩をつかまれた。とっさに白石さんは「はなせば分かります」。「話せば」と「放せば」がうまくかかって、教室が沸いた。

 人を傷つけない、ちょっと面白いことを言って、人気を得る。そのセンスは、信州大に進んで学生寮に入ってからも光っていた。

 ある日の飲み会のこと。酔っ払った一人が、「男の生き方は引いて生きるか出て生きるか、二つに一つだ」と〈名言〉を吐いた後に暴れて寮のトイレを壊してしまった。そのエピソードを記した寮内の文書に、白石さんは書いた。

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