「哲学的ゾンビの妄想」による心神喪失の疑い残る…神戸5人殺傷で無罪判決

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 神戸市で2017年、親族ら3人を殺害、2人に重傷を負わせたとして殺人罪などに問われた無職男性(30)の裁判員裁判の判決が4日、神戸地裁であった。飯島健太郎裁判長は「男性は事件当時、心神喪失状態だったとの疑いが残る」として、無罪(求刑・無期懲役)を言い渡した。

神戸地裁
神戸地裁

 判決によると、男性は17年7月16日朝、神戸市北区の自宅で祖父母の南部達夫さんと 観雪みゆき さん(ともに当時83歳)の首を包丁で刺すなどして殺害後、近くに住む辻やゑ子さん(当時79歳)も刺殺。母親(57)と近所の女性(69)も襲い、重傷を負わせた。

 事実関係に加え、男性が精神障害で「哲学的ゾンビを倒して知人女性と結婚する」との妄想を抱き、被害者らを襲ったことにも争いはなかった。公判では精神障害の程度や影響、それによる男性の刑事責任能力の有無が争点になった。

 公判前に検察側が2人、弁護側が1人の医師に精神鑑定を依頼。検察側は「犯行を思いとどまる判断能力が残っていた」とする2人目の鑑定結果などに基づき、限定的だが刑事責任能力はあったと主張していた。

 飯島裁判長は判決で、3人のうち検察側が依頼した2人の鑑定結果を検討。男性と11回面接し「妄想の圧倒的影響を受けていた」とした1人目の鑑定を評価する一方、2人目は「男性が面会を拒み、5分程度の1回だけで鑑定手法は不十分」と判断した。その上で家族を含む5人を次々と襲った状況などから「自分と知人女性以外は哲学的ゾンビだとする妄想の圧倒的影響のもとで犯行に及んだ疑いが 払拭ふっしょく できない」と結論づけた。

 神戸地検の山下裕之次席検事は「判決内容を検討し、上級庁と協議の上、適切に対応する」とのコメントを出した。

  ◆心神喪失= 善悪の判断や行動を自制する能力が完全に失われた状態。刑法39条は心神喪失者には刑事責任能力がないとして、犯罪行為を「罰しない」と規定する。この能力が著しく低下した状態は「心神耗弱」とされ「刑を減軽する」と定めている。刑事裁判では、医師の精神鑑定に基づき、裁判所が刑事責任能力の有無を判断する。

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