市街地出没のクマ、多いのは「駆逐された若いオス」「繁殖相手にならない子連れのメス」

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 市街地に近年出没するヒグマにどう対処するかについて、野生動物生態学が専門の佐藤喜和・酪農学園大教授(50)が著書「アーバン・ベア」にまとめ、東京大学出版会から発刊した。クマが市街地に出没する背景や予防策も示している。

 市街地に出てくる「アーバン・ベア」は、別のオスに駆逐されて新たな生存エリアを探す好奇心旺盛な若いオスと、子グマを産んだばかりでオスの繁殖相手にならない子連れのメスの2パターンが多いという。6月に札幌市東区で4人にけがを負わせたクマも、4歳の若いオスグマだった。

 札幌の市街地への出没は2000年代に入ってから目立つようになった。10年代にはメスグマが市街地近くの森林で繁殖を始め、若いオスグマの駆除も増えるようになったことをデータとともに記している。

 森に近い住宅地でクマの出没を防ぐには、生ごみなどを外に置かず、生ごみを 堆肥たいひ 化するコンポストは電気柵などで覆うことが重要という。クマが生息する森と住宅地との間にある緑地帯や河畔林で適切な伐採や下草刈りをすることも有効と説いている。クマは人目にさらされるのを嫌うからだ。

 1990年代まで30年ほど続いた春グマ駆除がなくなったため、クマの出没は増え続けている。市街地で悪さをするクマは駆除する必要がある一方で、北海道ではクマと人は共存関係にあると力説する。

新著「アーバン・ベア」でヒグマとの共存を説く佐藤さん
新著「アーバン・ベア」でヒグマとの共存を説く佐藤さん

 東京生まれの佐藤さんは、北海道大在学中にサークル「北大ヒグマ研究グループ」に所属。北海道幌延町の北大天塩研究林でヒグマの足跡を探し、富良野市の東大北海道演習林や大雪山で行動を観察した。東大大学院時代は浦幌町に住み込み、長期野外観察を行うなど、ヒグマ研究にまい進してきた。

 新著では、北海道のヒグマはDNA分析で道北・道央、知床、道南の3タイプに分類されることや、妊娠・出産、繁殖など生態を詳しく紹介。すみかとする森の奥にはオスのボスグマがいて、自分以外のオスを駆逐し、非血縁の子グマを殺すという生態も記した。

 佐藤教授は「アーバン・ベアという言葉は研究者でも使われ始めたばかり。この言葉をきっかけに、一般の人もなぜヒグマがまちに出没するのかを考えてもらえたら」と話す。税込み4400円。

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